第21話 フィーディス商会本店
そして、俺はすき焼きを作らされた。多めには用意はした。割り下も肉も卵も野菜も多めには買った。
イベントリーは時間経過が無いから、余ったら俺がこっそり食べようと思っていたのに、肉の消費が激しい。お前ら野菜も食べろ!野菜!
肉が旨すぎて止まらないだって?それはすき焼き用の高い肉だからな。生の卵がこんなに美味しい何て知らなかった?普通の卵は生で食べれないからな。絶対に食べるなよ!特にキアナ!卵食い過ぎだ!
そして、俺は少しの肉と野菜しか食べれなかった。肉の殆どがジェームズとルギアの腹の中に収まった。肉食だからか。
「旨かった。アマツ様が食べたいと言っただけはある。」
「俺が今まで食べていた硬い肉は何だったんだ!」
「卵。卵。卵。卵は生が一番美味しい!」
三人とも満足したようだ。よかったな。キアナは肉食の鳥族なのだろうか。
「次はカレーライスと言うやつな。」
ルギアがそう言うが
「俺は明日から首都のミレーテに戻るから、無理だ。」
「なんだと!」
俺を睨んでも仕方がないぞ。
「俺はフィーディス商会の見習いとして、一年間本店で働くことが決まっているからな。」
「俺も首都に戻る。」
「ルギアさん。ここのギルドマスターじゃありませんでした?」
え?ルギアのオッサンはギルマスだったのか?それは勝手に首都に行ったらダメだよな。
「わかった。ミレーテにいるヤツと交代すればいいだろ?」
よくねー。
翌日、俺はミレーテに向けて出発することになったのだが、何故かルギアのオッサンがいた。オッサン関係ないだろ。ミレーテのヤツと交代するからいい?キアナは何でいるんだ?俺の教育係に志願した?お前ら食い意地が張っているだけだろ!
ジェームズ!笑ってないでこれでいいのか?いいのか。ゼルトのオッサンは何でいるんだ?俺は付いて行かないから安心しろって?
ん?なんだこれは?スッゲー札束が入っているけど?昨日のワイバーンの売ったお金?ゼルトのオッサンの好きにしたらいいって言ったじゃないか。
キアナなんだ?その手は。いらないなら金をくれ?お前は関係がないだろ!
ゼルトのオッサン。講習料と袋の貸出料で、半分だ。キアナ舌打ちしようがお前は全く関係がない。
そんなこんなで、出発前からゴタゴタした。俺は騎獣と言うものに初めて乗り、空の旅というものを体験し、首都ミレーテに戻ってきた。5日掛かった行程が半日だった。え?騎獣速すぎないか?
そして、フィーディス商会本店の前に立った。店構えが大きいな。ジェームズに連れられて、店の中を案内される。本店は3棟続きになっており、それぞれが、食品を取り扱う建物、衣類を取り扱う建物、それ以外を取り扱う建物と別れていた。流石に規模か大きい。その説明をされ、そのまま奥へと連れていかれ、中庭を挟んだ向かい側に従業員が住む建物があった。これも規模が大きく、右側に女性従業員専用の建物、左側に男性従業員専用の建物そして中央に食堂と家族従業員専用の建物があった。これ独身寮と社宅を一緒にしたものだよな。
「ジェームズ。あ、大旦那様と言った方がいいのか?これも天津様が考えたのか?」
「エンにそう呼ばれるとケツが痒くなる。アマツ様と同じお前なら、今まで通りジェームズでいい。社員雇用に対して生活の保証を考えたのはアマツ様だ。」
「そうか。そういえば、給料から保険の天引きってあるのか?そもそも保険システムがあるのか?」
「?。保険とはなんだ?」
「ないのか。そこまでは手がまわらなかったか。」
「エン。詳しく話なさい。」
そう言われ、ジェームズに腕を捕まれ、本店に戻っていった。
「だから、これは国が考えて実行することだから、個人でなんとかできる仕様じゃないんだよ。」
ジェームズに雇用保険と健康保険の概念を教えたが、個人で支払うのには額が大きすぎる。これは国を巻き込んでしなければならない事業だ。
ジェームズは「ふむ。」と言って考え込んでしまった。
「もしくは、そういう会社を立ち上げて、個人加入をするか、しかし、これだと災害があったときに支払いが回らなくなるから、お勧めはできない。」
また、「ふむ。」と言ったまま押し黙ってしまった。どれぐらい時間がたったか、ジェームズが顔をあげ
「同じことを総統閣下に話してもらえるか?」
「は?ソウトウカッカ?」
「国民から選ばれた国の代表だ。」
「総統閣下!孤児でしかない俺がそんな偉い人に話すなんて無理!」
「大丈夫だ。ルギアと親子だから。」
「それはなんの根拠もない見た目だけで親子と決めつけないで欲しい。あの食い意地の張ったオッサンと親子なんて否定する。」
マジでやめて欲しい。
「総統閣下には俺から言ってみるか。中々面白い概念だ。確かに仕事を辞めれば、収入がなくなる。次の就職までの数ヵ月を補償するものか。子供を産むからと言って辞めてしまうからな。」
は?ちょっと待て、産休の概念もないのか、あの国では男性も育休を取る時代だぞ。天津!本当に国の根幹の法整備しかしなかったのか!
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