第7話 ご褒美の金平糖
結局、ビーチェとライラの魔術で土に穴を開けて埋めることになった。本当に今まで大丈夫だったのか。
そういえば、グルグルマップの赤い点はゴブリンを倒したら無くなった。あれは、ゴブリンを指していたのだろう。
それからの帰りは何事も無く無事に首都ミレーテに帰れた。帰りは冒険者ギルドに寄り、ゴブリンの討伐部位を出して換金して終った。今回は30
孤児院に帰ってからもライラの顔色は悪いままで、夕食も殆ど手を付けていなかった。明日も討伐に行くのに大丈夫だろうか。ドラクがいないのを確認してライラに声をかける。
「ライラ、大丈夫か?」
「な、何の事?」
「ゴブリンの討伐から顔色が悪いから気になったんだ。」
「あ、うん。」
「気になることがあるなら言ってみろ。」
「あ、あのね。私がおかしいのだと思うのだけど・・・。うんん。やっぱりいい。」
「別に笑ったりしないと思うぞ。」
「あ、ゴブリンがね。人みたいだなって思ったの。緑の人。だから、皆が平気な顔をして殺しているのが怖くって。」
確かに
「それは、ゴブリンが怖いわけではなくて、皆が怖いと言うことか?」
「あ。えーと。皆が怖いわけじゃなくて、私が人を殺すのが平気になるのかなって。」
「そう思っている限り平気になることはないんじゃないかな。それにライラは補助魔術をこれから覚えるのだから、直接命を奪う行動に出ることは滅多にないと思う。」
「そっか。エン、ありがとう。皆が怖いわけではなくて、私自身がそうなることを怖がっていたんだね。」
何か納得したらしい。これから、どうするのかはライラ自身の気持ち次第だ。
「ライラ。口を開けてみろ。」
ライラの口の中にご褒美の金平糖を1つ入れてやった。
「あまい!なにこれ!直ぐに無くなってしまった。」
「今日、頑張ったご褒美だ。じゃ、おやすみ。」
討伐メンバーに入って、2ヶ月がたった。
その間、気味が悪いぐらいドラクがおとなしかった。原因はわかっている。ティオ爺の監視の目があるからだ。
そして、とうとうティオ爺の監視の目が外れる日が来てしまった。ティオ爺が討伐メンバーとして、問題なくやっていけると判断したからだ。
この日が来ることはわかってはいたが、来てほしくなかった。
「今まで問題無くやってきたように、わしが居なくても今まで通りすれば問題はない。皆、頑張れよ。」
そんな言葉を残して、ティオ爺の指導は終わってしまった。今まで問題がなかったのはティオ爺がいてくれたからだ。できれば、ドラクも連れていってくれ!
そう、ドラクの指導は外れないのだ。俺は生きていけるだろうか。
今日は北の街道沿いの森を行くらしい。リーダーのフーゴを先頭に、エルム、俺、ビーチェとサイ、最後尾にライラとドラクの順に進んで行く。ドラクがライラの隣を歩くようになったのは、初日の次の日からだった。一番最後尾で、ドラクがライラにずっと話掛けている。よく疲れないものだ。それに、最後尾を陣取るならもう少し、周りの警戒というものをしてほしい。
しかし、今日は何かおかしい、ずいぶんと奥に入って来ていないだろうか。ライラもそれに気が付いたのか
「ドラクさん、少し奥に入り過ぎてませんか?」
「ティオ爺がいないときはこんなものだ。毎日、魔物が1体や2体じゃつまらないだろ。」
ちょっと待て、お前一番始めに言っていたよな。
『街道沿いの森に入りゴブリン討伐を行うが森の浅いところのみだ、奥にはいかない。わかったな。』って言っていたよな。あれは嘘か。早速、問題行動か!
「敵発見。行くぞ。」
そう言って、エルムが先走って行った。お前もか!エルム!連携はどうした。連携は。
後に付いていくと、グリーンウルフがいた。そのグリーンウルフにエルムが突っ込んでいく。それに続き、ビーチェが火の矢をサイが弓で矢を放ち始めた。お前ら、連携はどうした。その撃ち方は誤射されそうで、すっげー怖いんだけど。1匹のグリーンウルフは直ぐに倒したが、魔石を取って、そのまま次に行こうとしている。
「魔物の死骸を埋めないのか?」
「それ、魔力の無駄。」
ビーチェが言ってきた。
「前から思ってたけど、あんたがいらないことをティオ爺に言うから、今まで必要のない事をさせられていたのを我慢していたけど、これからはしないから。今までも問題無かったのに、何かあるはずないじゃない。」
そう言って、前衛に付いていった。ビーチェ。お前は魔物の世態を知らないのか!ウルフは大抵集団行動を取るんだ。これが絶対にハグレウルフだという根拠はないんだぞ。
仕方が無く穴を魔術で開ける。あ、開けすぎた。魔術は難しいな。グリーンウルフを穴に落としいれ、また、魔術で蓋をする。あ、今度は盛り上がってしまった。
そして、あいつらの後を追おうとグルグルマップを見てみると、赤い点に囲まれた。青い点の集団がいた。
マジやばくないか?
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