第113話 摩訶不思議スープだ
俺が連れて来られたのはルギアが向かい側に座っている食堂の席だった。なんでルギアまでいるんだ?
「エン。ジェームズから5日の休みを言われたんだよな。」
ソルからそう聞かれたので
「そうだ。」
と答える。するとルギアからソルから言われた事をまた質問された。
「で、エンはここで何をしていたんだ?」
だから、同じ答えをくれてやった。
「ジェームズから食堂の改善の続きを言われたから、その思案をしていた。」
すると二人同時にため息を吐かれてしまった。いったい何がため息を吐かれるような事があるんだ!言われた事をしていただけじゃないか!
「エン。休みはどうした。休みは。」
「ジェームズは次の行商に行くまでと言ったのだろ?直ぐに次の行商に行くわけじゃない。ジェームズは休みが終わったあとの事を言ったんだ。」
いや、でもキアナの対応に困っていたぞ。
「なんで、そんなに不服そうな顔をしているんだ。」
ソル、頬を引っ張るな。痛いだろ!ソルの手を払いながら、そもそも関係のない二人がここにいる理由を聞いてみた。
「で、ルギアとソルは何をしに、ここに来たんだ?」
「うまいものを食いにきた。唐揚げ。」
ルギア相変わらず唐揚げが気に入っているんだな。ルギアの前に唐揚げ弁当を出してやる。
「エン。酒が無くなった。」
「は?」
「エンが前くれた酒だ。同じヤツが欲しい。」
いや、あれ一樽だったぞ。もう、無くなったのか?ソル飲み過ぎじゃないのか?
「一樽でいいか?」
「二樽だ。」
なんで増えているんだ。一樽あれば十分だろ。俺はジト目でソルを見る。するとソルは当然の権利を主張するように言う。
「二樽もらったから、同じだけ欲しいと言っているんだぞ。」
「ルギアの分も貰ったのか?」
ルギアを伺いみると2つ目の唐揚げ弁当を食べながら首を横に振る。ん?どういうことだ?ルギアは酒は一樽受け取ったという事か?
「エン。酒は三樽余っていたぞ。」
ソルからそのように言われたが、三樽・・・あ!そうか。最後のヤツは俺の手持ちの酒を使ったから、ルギアが一樽でソルが二樽受け取ったのか。
ネットでポチッとして、イベントリーから樽を2つ並べて出す。するとソルは直ぐに仕舞っていき、俺に向かって手を差し出してきた。あ?なんだ?
「焼肉弁当。」
それもか!ソルの手の上に3つ乗せる。
「食ったら帰れ。」
「いや、エンに言っておく事がある。」
唐揚げ弁当を2つ平らげたルギアがそんな事を言ってきた。何を言われるんだ?
「他の美味いものをくれ。」
「それが言いたかったのか!」
どれだけ食い意地が張っているんだ!
「いや、別の事だ。ただ、他の美味しい物が食べたい。」
そうですか。用件より食べたい欲求のほうが勝っているってことか。俺は厨房に行きキアナが摩訶不思議な方法で作り上げたトマトスープを鍋ごと持っていく。・・・が、重くて持ち上がらん。流石に寸胴鍋は普通には持ち上がらなかったか。そもそも、調理台が高すぎて、取手に手が届くかどうかの・・・くっ!何故、俺は背が伸びないんだ!
身体強化を使って鍋を持ち上げようとすれば、鍋が勝手に浮き上がった!いや、ガジェフが持ち上げてくれたようだ。
ガジェフが鍋を持ってくれたので、皿を持って食堂の方に向かう。鍋を置いてガジェフが調理場に戻っていったので、皿をルギアとソルの前に皿を置き、勝手に取って食べるように言った。
取り敢えず満足できるまで食べてくれ、話はそれからだな。
「エン。これはなんだ?」
ソルが聞いてきたが、ルギアは黙々と摩訶不思議スープをパンと一緒に食べている。
「ああ、キアナのスキルで作った摩訶不思議スープだ。美味いのは美味いぞ。」
「どの辺りが不思議なんだ?美味いぞ。」
黙々と食べていたルギアが聞いてきた。そうだよな見た目も普通だし、味はマジで美味い。
「ああ、美味いよな。これトーマが入っていないんだ。」
「「は?」」
二人してトマトスープをガン見している。そうだよな。色も味もトマトが入っているようにしか思えないよな。
「だったら、これはなんだ?」
同じ事をソルが再度聞いてきた。だから、そのまま説明する。
「料理スキルという摩訶不思議な現象で作られたトーマスープだ。」
「意味がわからん。」
そうだよな。わからんよな。しかし、二人は満足するまで摩訶不思議スープを食べきった。
「で、何の話があるんだ?」
ルギアにここに来た目的を聞いてみた。
「国の南から東側にかけてエルフによる被害が報告が上がってきているんだ。だから、一人でウロウロするなよ。」
エルフによる被害?今度は何があったんだ?
「何があった?」
「以前のようにエルフがこちらまで来て、何かに遭ったという直接的な被害ではなく。遭遇して被害に遭ったと言った方がただしいか。王が誕生してエルフ族が再度世界の頂点に君臨しようと動き出す準備でも始めたのだろう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます