俺にとってこの異世界は理不尽すぎるのでは?~孤児からの成り上がり人生とは~
白雲八鈴
第1話 黒色は異質
今、俺は絶体絶命のピンチを向かえている。背後には絶壁の崖の下には海、目の前には弓矢や杖を構えたエルフ共。なぜかここ数ヶ月、エルフ共に追われ殺されそうになっていた。俺が一体何をしたというのだ。俺は行商人として各地を回っていただけなのに。
エルフ共の真ん中から、紫の髪の男が出てきた。
「この異端者が手間取らせやがって、だがここがお前の終着点だ。」
「俺は何もしていない 。ただの行商人だ。」
エルフの男は顔を歪め
「お前の存在自体が罪だ。」
それは余りにも横暴じゃないか。俺だって生きるに必死なんだよ。それが罪だというのか。思わず奥歯をギリリと噛み締める。
「やれ!」
紫の髪の男の号令と共に弓矢と炎や氷の魔術が飛んで来る。
ああ、本当になんでこんなことに、なってしまったのだろうか。何が悪かったのだろうか。示された未来は変えることはできないということなのだろうか・・・。
俺はエンという。ただのエンだ。孤児なので氏は与えられなかった。
ギラン共和国という商業国に生まれたが親が何処の国の出身かは定かではない。
なぜなら人族は一様に色素が薄い傾向にあるなか俺は黒色を身に付けて生まれたからだ。黒い髪に琥珀の目、それが親に捨てられる原因となったものだろう。
ある日、赤子の俺が孤児院の前に捨てられていたという。
しかし、ある意味この国で助かったのかもしれない。この国の法制度は確立しており、王を頂とする封建制度ではなく、民主に決定権がある立憲制度を用いているのだ。だから、国民となればどんな者でも生存権が発生する。黒髪の孤児でもだ。
孤児院での生活は快適とは言えなかったが、生きることはできた。
「おい、黒色。お前人族じゃないから、メシいらねーよな。」
そう言って、俺の食事を取り上げる顔をみると、金髪碧眼で人をバカにしたような顔をしている、この人族専用の孤児院で、院長を勤める息子のドラク・イルメルドだ。孤児院の中でもこいつが一番
食事が終われば孤児達は毎日の日課として、自分達が食べるための畑の世話と薪拾い、そして孤児院の稼ぎとして魔物討伐を仕事として与えられる。魔物討伐は主にこの孤児院を出ていく12歳から15歳までの者たちの仕事だ。
だから俺のような小さな子供は畑か、薪拾いをすることになる。
俺はいつも薪拾いを仕事として選んでいる。なぜならそこで食事にありつけるからだ。
俺には人には絶対言えないことがある。一つは前世の記憶というものがあることだ。しかし、たいした記憶ではない社畜として働いていた、ただのオッサンの記憶だ。なんで、死んだかまでは覚えていない。オッサンの記憶なんてそんなものだろう。
もう一つは転生物でよくあるチートってやつだ。何がチートかって言えば、ネットが使えるのだ。いや。ここがどう見たって地球じゃないことはわかる。地球には月は2つないからな。
その、地球のネットが普通に使えるのだ日本語表記で、不思議だなぁ。
そのネットでグルグル先生とニヒル通販と金太郎通販とONネットスーパーが使えるのだ。前世でよくお世話になったものばかりだ。しかし、グルグル先生はこの世界にも対応となっていた。
まあ、長い説明になってしまったが、薪拾いの者たちと離れ、ONネットスーパーを開く。そうすれば、半透明なウインドウが開き見慣れたトップ画面が表示された。そこで惣菜パンを購入っとポチ半透明な画面を押すと惣菜パンが・・・・『残金が足りません。』マジですか。
ついていない。俺は辺りを見渡し、勇者の剣もといその辺の木の枝を拾い、ヤツを探しに行く。
いた。あの草むらに蠢いている丸いフォルムはヤツに違いない。俺は思いっきり走り込みヤツに木の枝をぶっ刺す。ぶるん、と震えたかかと思うとベチャリと丸いフォルムが崩れ液体と小さな魔石だけが残った。
その魔石を拾い、透明画面の課金ボタンを押すと空間に穴が空き、そこに魔石を投入する。『スライムの魔石G=10円になります。課金しますか?』
10円・・・ハズレスライムだった。取り敢えず『はい』を押すと残金が10円増えた。
ああ、今日は惣菜パン一個のために何匹のスライムを倒さなければならないのだろう。最初の頃より一発で仕留められるようにはなってきたけれども、ご飯のためとはいえ辛いなぁ。
俺は10匹のスライムを倒し、100円のお惣菜パンを手にいれることができた。結局、薪は半分しか集められず、夕食が半分になってしまった。つらいなぁ。
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