第3話 ステータスがおかしい?
今日から討伐組が再編成され俺とライラが加わったチームになる。まずは、指導員のドラクだ。いなくてもいいと思うが・・・。もう一人、本来の指導員である冒険者を引退した爺さんでティオ爺だ。院長と仲がいいようでよく二人で酒を飲んでいるところをよく見かける。
チームリーダーとして15歳のフーゴ。剣を使う15歳のエルム。魔術を使う14歳のビーチェ。弓を使う13歳のサイ。そして新たに入る俺とライラの編成となった。
「まずは、エンとライラ。今日は冒険者ギルドに行って登録をしてから、何の武器で戦うか決めよう。」
そう、ティオ爺が言えば
「じゃ、俺が冒険者ギルドに付き合うぞ。」
と、ドラクが言い出した。すっげー嫌だ。
「ドラクお前は指導員として、お前とトトが抜けた分をどう穴埋めするか、今までの者たちを連れて討伐に行ってこい。」
「いや。俺は。」
「言ったはずだよな。指導員として付いてくるならワシの言うことは聞くように。そうでないなら、孤児院の跡継ぎとして勉強をするように、という約束だったはずだ。」
「ああ、わかった。」
あの、ドラクが素直に言うことを聞いた。ドラクはそのまま、他の者たちを連れて、この場を離れていった。よかった。ドラクが付いて来るとなっていたら、登録もまともにできなかっただろう。
「エン。ライラ。ついてきなさい。」
ティオ爺に言われたので、ライラと一緒に付いていく。孤児院から大通りに出て南門の方へ行くのだろう。そこの南中央広場に商業ギルドと冒険者ギルド、技術者ギルドがある。孤児院の者たちは12歳になれば魔物討伐のため冒険者ギルドに登録している。将来の事を思えば商業ギルドにも登録しておきたいものだ。
「エン。どきどきするね。」
ライラが話かけてきた。ライラは俺が黒髪でも普通に話をしてくれるのだ。
「何がだ?」
「冒険者ギルドに行くこと。大人の世界に入って行くって感じ。」
「そうか?」
「む。エンは大人っぽいからそういうのは慣れているかもしれないど、私はどきどきするの。」
慣れているってなにがだ?
「冒険者ギルドに行くのは初めてだぞ。」
「むー。」
「ははは。」
ティオ爺が笑っているが何かおかしいことでもあったのか?
「皆、初めての事にはドキドキするものだ。エンは初々しさがないな。そんなんだから、ドラクに突っかかれるのだ。」
「初々しさがあればドラクに何もされずにすむのか?」
「何事にも静観しておるってことだ。言い換えれば爺くさい。」
「俺がティオ爺と一緒だと言いたいのか?それは無理があるんじゃないのか?俺はティオ爺みたいに色んなことは知らないぞ。」
「ははは。物の例えだ。」
爺くさいと言われても中身はオッサンだから変わらないかもしれんが、爺に爺くさいと言われても困るな。
そんな話をしているなか、冒険者ギルド前に到着した。ティオ爺が先に中に入り、続いて俺とライラが入っていった。中は人でごった返しており、ティオ爺を見失わないように、ライラを引っ張りながら付いて行くのに必死だ。もう少し子供の目線というものを気にしてほしいものだ。
ティオ爺が突然止まり振り向いた。
「お、ちゃんと付いて来たか。」
「ティオ爺もう少し、周りより小さい俺たちの事を考えてくれても、いいんじゃないのか。」
「ああ。わざとだ。」
「は?何でそんなことをするんだ。」
「一種の試験みたいなものだ。周りに惑わされずにちゃんとリーダーに付いて行けるかのな。大抵は、入った瞬間に周りに気に取られて置いていかれてしまうのだ。」
「ああ。そうか。」
「え。そうだったの?」
俺とライラの声が重なった。
「ははは。エンはやっぱり引っ掛からなかったか。それじゃ、登録手続きをしようか。」
ティオ爺に付いていき、カウンターの前に連れて行かれ、紙に名前を書くように言われたので、エンと書いた。ん?それだけでいいのか?子供だからいい。そういうものなのか?
そして、首から下げるタグをもらった。これは身分証になるそうなので、無くさないように言われた。
「そのタグを着けたらこれに触ってみろ。ステータスがわかるぞ。ライラ触ってみろ。」
丸い球体に触るように言われ、ライラが触る。
Lv.8
STR 2
VIT 3
AGI 18
DEX 8
INT 12
MND 20
LUK 20
「ライラは補助魔術を覚えるといいかもしれんな。次、エン触ってみろ。」
おお、基本ステータスが見られるようだ。
Lv.23
STR 105
VIT 62
AGI 208
DEX 151
INT 302
MND 92
LUK 999
「・・・・エン。お前何をしていて、こうなったのだ?色々おかしいぞ。」
「スライム狩り。」
「いや。スライムだけでこんな風にはならん。」
「本当だし。薪拾いしながら効率よくスライムを狩る研究をしていた。」
「だから、普通はそんな研究はしないぞ。」
俺には死活問題だったから仕方がないじゃないか。
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