第2話 ダンジョンに初潜入したわけだが……

 ダンジョンに初潜入したわけだが……まだ不安だ。わくわく感はあるが、それでも俺はただのニート。現在20歳になるただのニートでしかない。


 こんな装備で大丈夫か? いやどうなんだろう? 一応武器はあるし、防具も鎖帷子というしっかりとしたやつだし。念のためにライターと懐中電灯に方位磁石に水筒と食料を持っていくことにした。

 俺はダンジョンに繋がるであろう扉を開けて、ダンジョンに突入するわけだった。


 ●●●


 まあまあ広い空間に出てきた。学校の教室の半分程度だろうか大きさは。そんな空間で何か出るのやら待ち構えていた。

 少しずつ歩みを進める俺は期待と不安でいっぱいになり、どんなことでもあるかもしれないと思い歩を進めていた。


 ここで俺は思った。そういえばダンジョンに入ったら、やることがあるんじゃないかと。

 そうダンジョンものなら定番中の定番だ。これをやらねば何をやると言うんだ。


 俺は意を決して叫ぶ。


「ステータスオープン!!」


 すると、俺の予想通りの結果が。

 目の前に半透明上のウィンドウが表示された。


 増宮拓朗 


 男


 20歳


 職業:堕落者


 Lv.0

 HP:320/320

 MP:300/300

 腕力:150

 守り:130

 速さ:240

 賢さ:80

 魔力:90

 幸運:260

 器用:100

 魅力:30


 特技:闘○コン○ロール、魔力○用、霊視

 

 スキル:ゼロ



 魔法:魔拳


 ステータス表示か……まあ普通だなとしか感想が出なかった。ラノベとかを読んでたら慣れてしまうのか少しだけ感動するかもしれないが……


 そんなことを想っているとついに敵の気配が前方から感じた。


【スキル気配察知を取得しました。】ルーン文字で書いている。


 頭に無機質な声が響いた。世界の声なんだが。意味不明だった。そして敵の姿が見えてきた。

 緑色の皮膚に高い鼻筋、細長い耳に醜悪な顔、子供ぐらいの背の高さをした怪物。

 それは俺が小説やラノベやネット小説とかの知識にある物で一つしかなかった。


 ゴブリンだな。物語によっては殆ど敵ですがたまに仲間になるあのゴブリンです。手には薄汚い棍棒を持っている。


 たぶん木製だな。序盤の敵として定番中の定番だ。

 もしかしたら仲間になってくれるとか……あるわけないか。


「ゲギャッゲギャッゲギャッ!!」


 獲物を見つけたような顔をしたゴブリンはこっちを見つけると走ってきた。さて初戦闘なわけだが……どうしよう。とりあえずそんなに強そうでない武器しかもってない感じだが、まあ何とかなると思う。でも注意してゴブリンの動きを予想する。


 ゴブリンが俺の眼前に迫る。そしてゴブリンが棍棒を渾身の力で俺に対して振り下ろしてきた。咄嗟に後ろに飛んで回避する。さらに用意していた石を目くらましにぶつける。


 ゴブリンは少しだけびっくりしたのか、隙が生じる。


 ゴブリンの動きには少々雑な感じが出ている。


 俺は直ぐにもう一度迫るゴブリンを今度は蹴っ飛ばす。ゴブリンは不意を突かれたのか蹴っ飛ばされた。

 そのまま普通に近づいて持っている西洋剣のような刀を振り下ろした。何度も振り下ろす。徹底的に畳みかける。


「グギャアアア!!」


 苦しそうに悶えるゴブリン。

 だが俺は躊躇なく刀をゴブリンの体から抜き、もう一度ゴブリンの頭に刀を振り下ろす。


 そしてゴブリンが絶命する。


 さあここからだ、死んだら遺体は消滅するか否か。

 ダンジョンでは遺体は消滅してドロップ品を残すとか言う感じのが定番だが……


 俺は暫く待つが、ゴブリンの遺体が消えることはなかった。

 その代り直ぐにまた世界の声が響いた。


【レベルアップしました。ファースト撃破ボーナススキル『鑑定』を獲得しました。スキルポイントを50ポイント取得しました。】


 気配察知……魔物や人の気配を周囲から察知できる。スキルのレベルを上げたら察知できる範囲や数などが増大する。


 鑑定……物や生き物などのあらゆるものの情報を分析して概要を表示する。レベルを上げたら表示できる内容が増える。


 試にダンジョンの壁を鑑定してみた。

 なお鑑定したいと念じるだけでそれは鑑定できた。

 

 ダンジョンの壁……ダンジョンにより発生している壁。強固で何物にも破壊することは不可能。ダンジョン核により光の苔がはえており、自動でダンジョンを照らす。


 なるほどダンジョンの壁は強固なんだな。でも異常なまでにレベルを上げればもしかしたら壊せたりして……


 俺は取りあえず、先を目指すことにした。

 そのまままっすぐ歩を進めた。



 ●●


 暫くするとまたゴブリンが出てきた。

 ゴブリンのスピードは速いと感じないが、実際はどうなんだろう。


 俺はゴブリンの突撃を華麗に横にステップで躱した後、刀を背後から振りかぶる。

 卑怯な気もしないが相手は魔物だ。そんなこと言っている場合じゃ無い。死ぬのはまっぴらごめんだ。


 俺は刀をゴブリンに袈裟切りしたらゴブリンが絶命した。ふと、そう言えば気になることが。大抵こういうモンスターは体内に魔石なるものが隠されているとネット小説で読んだことがある。


 刀でがしがしとゴブリンの胸の辺りを切っていく。

 不思議とグロ耐性が付いている俺はそれほど苦も無くゴブリンの体内から魔石を見つけた。

 ビー玉ほどの大きさだ、しかし何やらパワーを感じる。


 ゴブリンの魔石を鑑定してみることに。

 

 ゴブリンの魔石(極小)……ゴブリンの魔石。中には魔素が眠っており、モンスターの核となる部分。


 鑑定のレベルが低いのかこれしかわからなかった。まあ取りあえず拾っておくか。

 俺はゴブリンの魔石をリュックに入れて、先を目指した。


 

 それから何体かのゴブリンを倒したところでまたレベルアップの声が聞こえた。


 ステータスは割愛するが、それよりもまたスキルポイントが50ポイント手に入った。

 これを何に使うのかだいたいの予想がついている。

 俺はスキルポイントの項目をタップした。


 すると『スキルポイントを消費してスキルを習得しますか?』と表示された。

 はい/いいえと選択肢まで出てきた。

 俺ははいと選択する。

 現在習得可能のスキル一覧はこちらですとでた。


 物品交換……取得必要SP500


 我城の防壁……取得必要SP300


 成長加速……取得必要SP500


 成長の甘玉……取得必要SP100


 怠惰の飲料水……取得必要SP200


 どれも取得必要SPが高いな。

 だがどれも面白うそうなスキルだなどうやらスキルの効果は取ってみないとわからないようだ。

 俺は成長の甘玉というスキルを取ることにした。成長の甘玉を取った。スキルの説明を見てみる。


 成長の甘玉……一日一個(レベル1の場合)甘玉を出す。甘玉を舐めるとステータスがランダムでどこかの項目がランダムに上がる。とても甘い。

 試に甘玉を出した。

 舐めてみる。

 甘い。

 そしてステータスを見てみると確かにランダムだがステータスが上がっていた。


 増宮拓朗 


 男


 20歳


 職業:ニート


 Lv.3

 HP:440/440

 MP:500/500

 腕力:550

 守り:480

 速さ:420

 賢さ:180

 魔力:190

 幸運:250

 器用:340

 魅力:10

 

 スキル:気配察知Lv.1、鑑定Lv.1、成長の甘玉Lv.1


 魔法:


 SP(スキルポイント):0


結構上がるな、これは意外とお得なスキルかも知れないな。

 俺はさらに歩を進めた。


 ゴブリンの動きは大体規則性があった。


 しいて言えば人間の中学生よりも弱い。

 犬よりも弱いし子供よりちょっと強い程度だな。


 俺は臆することもなく進んでいく。

 もちろん不意を突かれないように気配察知は鋭敏に作動しておく。


 つねに全力で行けばなんとでもなる。

 そんな予感がした。

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