第47話 両手に猫とか最高だな

 日本橋ダンジョンの103階層に来ていた。

 既に100階層を俺はクリアしていた。

 そして空間転移で103階層まで来ていたのである。


 俺はクロンのさらなるレベルアップとトラネの欲しがる最高級の素材を取りに来たわけだ。


 103階層に出てくるモンスターは強敵だ。

 俺の自宅ダンジョンほどではないがなかなか強い敵が出る。

 俺なら一撃なモンスターばかりだがな。

 そして今回出てきたモンスターはジャイアントオーガ。

 途轍もないでかさを持つオーガだ。

 ただ動きが若干普通のオーガより鈍いのでむしろ弱い。

 だが耐久力とかは普通のオーガより高いのでそこは油断しないようにしよう。


 クロンが黒猫疾風斬を繰り出す。

 トラネが馬鹿でかいハンマーのようなもので殴りつける。


 ジャイアントオーガがトラネの一撃で吹き飛んだ。

 そのままトラネが跳躍してさらに連撃を加える。


「おりゃあーーーーーー!!! これでも喰らえにゃあ!!!」


 地面が陥没する勢いだ。

 ハンマー? が物凄い破壊力を誇る。

 トラネの戦い方を見ると戦士系なのかこいつ。


 そしてクロンとトラネが二人でジャイアントオーガを倒してしまった。

 クロンはともかくトラネかなり強いな。

 戦いが終わるとトラネは素材をそそくさと回収した。

 ジャイアントオーガの素材は牙と皮となんと鎧が現れていた。

 とりあえず止めをさしたのはトラネなので全部トラネに渡すことに。


「ありがとうにゃぁ☆」


「それよりトラネ凄く強いんだな」


「とうぜんにゃ、トラネはレベル75もあるにゃぁ☆」


「それは高いな」


「ついでにこのハンマーみたいなものの正体を知りたいだろうにゃ? 知りたいかにゃ」


「お、おう……」


 待ってましたと言わんばかりトラネが語り出した。


「これはトラネが自作した最高傑作の武器にゃ……名を『大金持ちのソロバンハンマー』にゃ」


「これソロバンだったのか?」


「ほらここがかなりソロバンにゃ」


 確かにソロバンのような駒がある。

 だがデカい。これソロバンとしては使えないだろ。


 そしてそのまま103階層を探索していた。


 リザードマンキラージャックが三体ほど現れた。

 キラーとつくとかなり強くなる個体だ。

 リザードマンたちは曲刀を振り上げてクロンとトラネを襲う。

 クロンは俊敏な身のこなしで躱していく。

 トラネも重そうなソロバンハンマーを持っているとは思えないほどの身のこなしでリザードマンたちを翻弄している。

 俺は光爆剣を構える。

 そのままリザードマンを斬り伏せる。


 クロンは俊敏な動きでリザードマンを倒そうとする。

 ナイフの連撃が凄まじい。

 気の運用がまだ足りないがそれでも野生の身のこなしが出来ている。

 

 その点トラネは腕に気を籠めているようで、ソロバンハンマーを振りかざす瞬間気の総量が莫大になっている。

 トラネの破壊力ある一撃でリザードマンキラージャックが倒された。


 さらに進んでいると、ヘルドックが現れた。

 ヘルドックはかなり強い犬種のモンスターだ。

 それが7体も。だが俺が炎雷の斬刈で4体ほど狩った。

 残り3体もクロンが1体黒猫走斬で倒してしまい、トラネが2体をソロバンハンマーで叩き潰した。

 

 103階層はまだまだ広いのでさらに進む。

 バーストベアが9体も出てきた。

 俺が光爆剣で4体ほど斬り伏せた。

 トラネがここで違う攻撃方法を取った。

 虎玉を出している。

 虎の気を籠めた玉だ。

 それをバーストベアに向けて撃ち出した。

 2体のバーストベアが虎玉で爆ぜた。

 クロンが疾走する。

 そのまま短剣で刺して攻撃する。

 黒猫俊足斬を放つ。

 短剣を交互に連続でバーストベアに斬りつける。

 余りにも速く斬りつけるのでなかなか侮れない。


 クロンが新たな武技を出す。

「栄華の舞」


 クロンがその場で魔力を籠めて溢れるように舞を踊る。

 すると俺達の腕力が上がるような感覚があった。

 どうやらバフ効果の武技のようだ。


 バーストベアを倒したら先を進む。


 104階層まで来た。


 トラネがほくほく顔で俺に話しかけてきた。

「物凄く素材が集まったにゃ。拓朗には感謝してるにゃ」


「トラネも物凄く強いんだな。驚いたぞ」


「トラネちゃん強いんだね」


 とまあそんな風に夕方までダンジョンを攻略していた。

 105階層まで歩を進めて、1000体ぐらいのモンスターを倒して素材やドロップアイテムなどを集めて帰路についた。


 家に着くと、蒼威ちゃんが待っていた。

「拓朗さんは今までどこをほっつき歩いてたんですか……また女の子ですかそうですか……」


「今日から一緒に住むことになったクロンとトラネだ。仲良くしてやってくれな」


「よろしくです」


「よろしくなのにゃ」


 蒼威ちゃんは終始ジト目で俺を見ていた。


 リスティもすでに居候の身だ。

 なんか居心地がいいから住み着いてしまった。

 勿論別の部屋だ。

 だがクロンとトラネの部屋がもうない。

 どうしよう。


「拓朗の部屋でいいにゃ」


「私もそれでいいです」


 それだとなんか悪いだろと俺は言うが断固して譲らないおふたがた。

 まあいいか二人が良いなら。


「私はいいと言ってない~~~~!!」


 と与えられた部屋でこっそり聞き耳を立てていた蒼威が壁ドンしていた。

 

 その晩、布団を三つ用意して離しておく。

 寝る。


 朝起きる。

 何故かクロンとトラネが俺の布団にいる。

 これなんてハーレム? と思ったと冗談でも飛ばしとく。

 まだ子供だから俺も反応しないよと強がる。

 トラネの耳がもふもふだ。

 クロンの耳ももふもふだ。

 尻尾を触る。

 なんだこれすべすべでもふもふしている。

 さわさわだ。

 もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ。


 堪能した。

 そして二人が起きる前に身支度を整えた。

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