第88話 魔神人と無限の力を持つヒーロー

 堕落王の空間にやってきた拓郎と雪兎。


 そこにはサンダーと魔刀とマヤがいた。


 マヤは心霊体の状態でいた。


 

 湖畔の旅人は爆音の中、鼓動を抑えられなくなるほど自分の実力を軽視している。世間の波の中自分を切り札と認識できないほどにここには自分の力を実感できないほどに出来損ないと感じていた。

 主に魔刀はそういう自信の実力を実感していた。

 サンダーは稲荷仮面という完全無敵の最強がここにいるのだから自分はありえないほど弱いと後悔していた。懺悔することがあると言えるぐらい自分は弱い弱すぎる。


 雪兎は状況を支配できるほど器用ではないがなんとなくテレパシーで状況を理解しようとしていた。


 だが稲荷仮面にはテレパシーが効かない。何かの力で無効化してくる。


 底が見えない男だな……こいつ。雪兎はそう考えていた。


 拓郎は雪兎ほどの少年はかなりの戦力になると想像していた。自分の中ではこれだけのメンバーを探していて集めていればなんとかなるだろうと予想していた。


 拓郎は稲荷仮面として説明する。


 状況はかなり不味い状況にあること。


 謎の魔術師たちがこの世界を侵略しようとしていること。

 そのため世界の危機を救うためにどうするかを説いた。


 雪兎は強いやつらだど倒せばいいと述べた。マヤはこう述べた。


「私はおにぃのことを犯人にしたやつらのことも気になる……」


 マヤは黒幕のことを言っている。


 黒幕は影も形もなく俺たちを嘲笑うからたちが悪い。そのような悪人なのかいたずらっ子なのかわからない奴をほおっておくのは不安がある。

 拓郎はそいつの正体に少しだがというか場所もだがを調べていた。


 そいつはそこにいるということを確定的だがわかっていたが、皆にそのことを言わない。


 あえて泳がすことを考えていた。それよりも魔術師の男たちだ。

 魔神人と呼べばいいのかそんな超常の異能の魔術を自由自在に繰り出せる魔人がいる。

 あいつらを倒す。それが目的だ。


 雪兎が突然思い出したように言い放つ。


「あいつらを回収しないといけないんだが行ってきていいか?」


「お前の仲間か?」


「ここに呼んでもいいかあいつらじゃいつ死ぬかわからんからな」


 雪兎は稲荷仮面と一緒に月名(ルナ)とシロンとミリアのとこに行く。


 千里眼で探せばすぐだ。


 そうしてすぐに見つかった。




「雪兎無事だったのか!」


「雪兎にゃぁ!? どうしたのですかにゃぁ 今までどこにいってたのかにゃぁ!!」


 シロンが怒るような言動を放つがそれでも眼には涙がほんの少し浮いており、心配の気持ちが現れていることがうかがえる。


「そうですよ雪兎。あなたはいつもそうですね。心配させてばかりです」


 妖精のミリアがほほを僅かに赤く染めて少しだけ機嫌悪そうに言っている。


 妖精であるミリアは人間の気持ちが普通の人よりわかりやすいからか。


「心配かけて悪かったなお前ら。魔術師の魔人と戦ってたからな」


 雪兎は自分が心配をかけておいたが悪びれる様子はあまりない様子だった。


「ところで……そちらの仮面をつけた男性はもしや……」


「稲荷仮面にゃぁ!?」


「どうも稲荷仮面です」


「礼儀正しいにゃぁ(>_<)」


 シロンは思わず驚いたような驚愕の表情を顔で表してしまった。ミリアは妖精族であるため人間のオーラが瞬時に理解できるため稲荷仮面のオーラが穏やかで静かだが力強く逞しい強大な人物であることを内心理解していた。


 月名(ルナ)は警戒心を露わにしていることを察知されないようにしているつもりだったが、表情では睨み付ける様に敵を威嚇する猛犬のような立ち振る舞いを見せてしまった。


「お前は何者だ!! 仮面なんかつけてないで素顔を見せたらどうなんだ!」


 稲荷仮面は少し悩んだが、決意したのか右手を稲荷の仮面にかけた。


「いいぞ。素顔をお前たちなら見せてやるよ」


 稲荷の仮面を外した増宮拓郎がそこにいた。


「本当に素顔をそんな簡単に見せるのか貴様は」


「今回協力してくれるからな顔ぐらい見せられなくてどうする?」


 拓郎は月名(ルナ)に子供をあやす様に諭す。


「お兄さんかっこいいですにゃぁ(*^▽^*)」


 拓郎はそういえば思い出したようにシロンのことを見つめて考える。


(この猫魔族の少女……シロンちゃんってクロンの妹だよな……同姓同名ということもあると思うが……)


 このことをクロンに伝えるか迷うわけなかった。


「シロンちゃん君にはお姉さんがいるよね?」


「ふにゃ!? いきなりなんですかにゃぁ?? 確かに私にはクロン姉ちゃんというお姉ちゃんがいるけど……」


「俺の家にいる」


「なんですとーーー(;゚Д゚)」


 速攻でクロンを連れてきた。




「お姉ちゃん!!」


「シロン会いたかった!」


 姉妹の感動の再会が終わったところでついでにみんなを連れてきた。


「拓郎さんこの戦いが終わるまで俺は帰ってこないと言ったのに速攻で帰ってきましたよね?? なんでですか? 怒っていいですか!?」


 蒼威ちゃんが切れ気味にキレる。別に最近相手してないからとかで怒ってないよな。


「魔刀君久しぶりね」


「想美じゃねえかいつ以来だ」


「なんだ二人は知り合いか」


 拓郎が挟み込むように言う。


 どうやら当幻家と魔夜間家は昔から魔術師としての深いつながりがあるようで、二人は昔から仲がいいというか腐れ縁の幼馴染らしい。


「マヤちゃんは相変わらずその状態なのね」


「心霊体でふわふわモードだよ~~~」


 とまあそんなことはいいとして最終決戦の舞台として和気あいあいとなったみんなで昼ご飯を食べて作戦会議した。


 夕刻5時そろそろ魔神人と名乗っている魔術師たちを倒すために渋谷に急行した。


 そこは地獄の業火に飲まれそうなところを沢山の探索者たちが食い止めていた。


 魔神人のイルミナが指揮を執っていた。


 我々の配下につけとこの国の代表を呼べと警察から奪った拡声器で叫んでいた。


 この国は魔神人の植民地となるのだと言っている。


 そんなこと誰がさせるかよ!!

 

 俺がいるんだ。そんな勝手なことさせるわけない。


 いいぜ、お前らが好き勝手やるんならこっちも考えがあるぞ。


 見せてやる俺たちヒーローの力ってやつをな。

 

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