第15話 一人の自衛官はダンジョンを探索する

 その頃梅田のダンジョンのもう1つの方では、1人の自衛官が必死に戦っていた。

 今年で23歳になる自衛官の1人、村正東樹(むらまさとうき)である。

 東樹は実戦経験など皆無である。

 だが、ここでやらねば死ぬのだ。

 死ぬぐらいなら敵を殺したほうがいい。

 そう思い、半ば冷静に東樹はナイフ術を使用し、敵を刺し殺すのであった。

 

 幸いにも東樹はオタクで、日ごろからネット小説を少なからず読んでいた。

 特に現代ファンタジー物が好きで、現代にダンジョンが出来た内容の物をよく読んでいた。

 だからなのか頭の中で意外と冷静だった。

 ついに来たんだ、こんなことがあるのか?

 いやあるからあるんだ。

 死ぬのはまっぴらごめんだ。


【レベルが上がりました。】


 これでスキルポイントは700だ。

 レベルは15になった。


 よし、そろそろスキルをとるか。


「ステータスオープン」


 村正東樹


 男


 23歳


職業:自衛官


 Lv.15

 HP:480/480

 MP:80/80

 腕力:220

 守り:170

 速さ:320

 賢さ:180

 魔力:120

 幸運:160

 器用:300

 魅力:120

 

 スキル:鑑定Lv.1


 魔法:


 SP:700


 スキルポイントの欄を押すと取得できるスキルが出た。

 こういうのも、定番に近いよな。


 取得できるスキルはこれらだ。



 小剣術……必要取得SP100


 影操作……必要取得SP500


 影移動……必要取得SP500


 隠密……必要取得SP600


幻影回避……必要取得SP1000


黒影斬……必要取得SP300


 乱れ突き……必要取得SP200


 毒突き……必要取得SP300


闇隠れの術……必要取得SP400


 いろいろあるんだな……どうしようか、隠密とか便利そうだな。

 東樹は隠密と小剣術のスキルを取った。

 これならなんとかなりそうだ。


 現在8階層である。

 一応数えていた東樹はその情報がどれだけ大事か理解していた。

 モンスターの強さが階層があがることによりどんどん強まっていくのが感じていた。


 ナイフで2撃ぐらいで倒せる敵が現在では8撃くらいかかる。

 そんな強さの幅を感じる今日この頃。

 東樹はアドレナリンがどばどば出ていた。

 死よりも危険なこの状況を楽しもうとしていた。

 

 8階層のモンスターはホブゴブリンファイターだった。

 近接からの怒涛の拳や蹴りによる乱撃が得意な敵だった。

 一度に2体出てくることもあった。

 そういう時は1体ずつ相手をしていたが、攻撃を回避するのは骨が折れた。

 これでも格闘術はそこそこ習っていたから、近接戦闘はなんとかこなせると東樹は思っていた。

 

 東樹はホブゴブリンファイターを蹂躙するほどではないが、確実に倒していった。

 そして9階層にやってくる。

 そこはアルマージという狸のモンスターがいた。

 獰猛な突進で攻撃してくる。

 そのまま狸の突進を東樹は躱す。

 

 だが、躱し切れずにぶち当たってしまう。


「いてえ!? なんだよこいつ!?」


 東樹は狸ぐらい大丈夫だとたかを括っていた。

 だがこの狸は強烈な突進攻撃だけが強みじゃない。

 爪による攻撃が何気にヤバい。

 鋭利な刃物のような鋭さで喰らうと大怪我を負うだろう。

 そんな中、東樹はナイフを使い仕留めようとするが、狸は素早くこちらの動きに対応していく。

 なんて素早い狸なんだと東樹は思っていたが、普通の狸ではないのだ。

 狸と言えどもモンスターだ。

 そんな凶悪な狸を隠密で背後を盗り、襲撃した。

 人間追い詰められると凄い力を発揮すると言うが、東樹はそんな人間のバカ力を発揮していた。


 そして9階層の狸をぶち殺した。


 そうして進みながらレベルを上げて、ついに10階層に来た。

 大きな扉がある。

 これはどう考えてもボス戦だと東樹は考える。

 ならばやるしかないなと張り切る。


 扉を開いてその眼前にいたモンスターはデカい狸だった。

 また狸か!!


 そんなツッコミをしたくなるほど狸にはうんざりしている東樹だった。


 ビックアルマージという名前のようだ。

 体長は3メートルといったところか。

 デカいから動きは鈍いのだろうと思っていたがそんなことなかった。


 俊足の動きで東樹の背後を盗ったデカ狸。

 そのまま大きな爪で抉り取るように掻き毟ってきた。


 ザクリッ!! 

 東樹の背中を抉るような甲高い音がダンジョン内に響き渡る。

 東樹は大きな傷を負った。

 しまったと思った瞬間手遅れである。


 くそっ……どうする、このままだと不利だぞ。

 東樹は思案する。

 かなりの深手を負った。

 だから何とかしないと……どうする俺!!


 東樹はとにかく隠密で近づくしかなかった。

 幸い死角に潜ればかなり察知されづらくなる。

 そのままナイフで切りまくる。

 

 そして30分の激闘の末になんとか倒すことが出来た。


【レベルが上がりました】

【世界サードボスクリアボーナススキル『収納空間(極大)』を取得した】


 うん? こういうこともあるのか。


 そして東樹はさらに進んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る