第106話 三年前●零神学園の日常その二

 タケルには師匠がいた。


 俺に喧嘩というか戦い方を教えてくれた心の師匠が。


 八宮マキオである。


 年は二つ上の先輩で17歳。


 タケルのオタク仲間でもある。


 ただマキオは別の部活レスリング部に在籍しているので


 TTLNNN団では臨時のMAKIOのMがちょっとだけ小さめに書かれている。


 そんな彼のお目当ての子もいる。

 子と言うより娘だが……


 七星ナナさんと七星カナさんだ。


 そうである。


 正確に言うとナナナとナナミの血縁関係に当たる。


 ナナナとナナカのお父さん太陽さんの妹がナナさんとカナさんだ


 ナナさんはこの学園の非常勤講師で年齢は25歳。


 カナさんは大学生で20歳。


 さらにその下のサナさんという三女の七星のナナナやナナミにとってはおばさんだが年はかなり近い17歳のサナさんもいるのだが、彼女は普通科だ。


 七星家なのに普通科というのも変だが特務科は希望制なので本人が行きたくないと希望すれば普通科に行ける。


 俺こと竹谷竹琉は特務科に入りたかったけど……無理だったんだ……俺のレッテルは無能力者だ。


 なんの能力も無い無能力者だ。


 だがナナナやナナミさんにナナカは優秀な能力者だし。


 おばさんと言うと怒られるのでお姉さんのナナ先生とカナさんにサナさんは俺とは違う能力者だ。


 といってもナナさんはともかくカナさんやサナはあまり強い能力者じゃないようだが……その辺は俺も知らん。


 七星家は結構謎の一族で子だくさんだが分家もかなりいるらしく結構経済界や色々な業種に顔が広いらしい。


 そういえばマキオ師匠も八宮って苗字で八がつくな。


 八宮家は別にそこまで経済界に顔が広いとかない。


 八宮家って言うより有名な一族だと八百万(やおよろず)家が有名だ。


 神に仕える一族で今でも神道の神社の家系で俺は知り合いが一人いる。


 八百万桃子(やおよろずももこ)とかいう俺の幼馴染でハトコの妹みたいなやつだ。


 最近神社の巫女の修業をしているらしく最近会ってくれない。


 仕事のことだから、なのかハトコとかいう絶妙に離れている親戚だからか……なんか音信不通だ。


 桃子どうしたんだろうな……? まあいいや状況を整理する。




 雪兎君はもしかして……ナナナとナナカのお気に入りか?


 転校生君かもしかして謎の……いいなそれ!


「謎の転校生君は……いつも波乱と情熱を巻き込んでいつもドキドキとハラハラを起こしてくれる……」


「ええと……どういう意味ですか?」


「うちの同好会に入らないかね?」


「もちろんお断り……」


「しますんしないんよ」


「しません……ってナナナちゃん俺のセリフ取るんじゃないから……って違う俺は断る気で……」


「証言します。ナナカはユキトが同好会に入ることを承諾したと確認しました」


「…………」


「はい入部決定……にやりっ」


「口で言います普通……それを!?」


「いいじゃんヘるもんじゃないし……」


「へるもんじゃないし」


「へらないから入りましょうとナナカは提案します」


「ナナカが言うなら……まあいいか入るか」


「おっナナカの提案は飲むってわけか……」


「だってナナカはほっとけいないというか……俺の妹に似てると言うか……」


「うんユキトには生き別れの妹がいるのか?」


 ナナナが話を入れてきた……バレた……しまった油断した。


 俺は押し黙った。がすぐにナナナが暗い表情になる。


 ナナカはすごく心配しそうな顔で俺を見てくる。


 しまったな……これはヤバい逃げたい。


「ならば……探そうじゃないか……ユキト君の妹を!」


 タケルがそんな大きく声を荒げた。


 でも嫌な感じはしなかった……なんかタケルさんは俺の生涯の友になってくれそうな…そんな予感がした。


「というわけで兄弟……俺が兄で弟がお前だ義兄弟の盃をかわそうと思う……」


「えええ~~~タケルにぃがユキトと義兄弟のサカズキを……これは天地がひっくり返るかもよよよ……っていつものことか……ってないないないない!!! 異常事態発生だこりゃ」


 ナナナが何か思いついたようにほくそ笑む。


 ナナカは感動で涙をぬぐわしている。


 そんなところにマキオが来た。


「よっころセクロス……タケルこの前借りた秘蔵の写真集のことだが……あれもう少し借りてて…………………………わかったマキは何も見なかったことにする……はだめかもしかしなくても……あれかあれだなあれか~来るよねそのタイミング」


 マキオが何か言いたげだが何故か入ってくる。


「よしナナナちゃんとナナカちゃんはユキトのそばがいいか……ナナナ君少し出ておこうよ……」


「グランドおじさんゴリラマキマキって言うと怒らないマキマキはやっぱり仏だよ~いまからこの名場面を写真と言うか写真かな取るから……マキちゃん取っててね」


「よしまかした!!」


 といって部室のデカいカメラを取り取りまくるカメラオタクの一面もあるマキオ。


 そんな感じで義兄弟のサカズキとしてタケルはユキトに本当に日本酒を進めた。



「ちょっとタケルさん……本物の酒は不味いですよ……」


「こういうのは形から入るのが俺流だからな……まあいいじゃんか少しくらい」


 と冷静にタケルは酒を飲む。


 仕方なくユキトもほんの少し飲む。


 サカズキは本物に近い形だった。


 神社とかのやつで本当に本物らしい。


 そして何か見えないリングのようなものが二人の間に出来たように感じられた。


「いいかユキト……お前が困っていてどうしようもないときに俺は何があっても弟であるお前を見捨てはしない……これは必ず誓う」


「そして僕は……何を誓えば……?」


「そうだな俺が死にそうな目にあったら助けてくれ頼む」


「できますかね僕が…………?」


「疑問形だな……お前はなかなか強いと踏んだぞ俺は」


「そんなことないですよ~~僕は……俺は弱いです。だって姉を助けることができなかったから」


「姉のことはもういいだろ…………そのことは知る時が来る」


 なんか意味深なことを最後に言われて普通にタケルさんは作業に戻られた。


 あっでもこの人たぶん小説家志望だよな……もしかして……


「タケルお兄様は中二病どころか光二病だから……ちょっといたわってあげてユキトにぃ!!」


「もしかしなくても……」


「そうタケルにぃちょとどころか重度のコウニビョウだから」


 とまあそんなわけで僕の輝かしいハイスクールが始まるのであった。


 ここ笑ってごまかせばいいのかなあははははっははは……っははは

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