第38話 魔王リスティは謎の探索者に出会う

 日本橋ダンジョンの傾向は1階層から10階層までは野菜系のモンスターが現れる。

 これらの野菜系のモンスターは倒すと野菜を落とす。

 その野菜は市場に出回っているどんな野菜よりも美味だと言う。


 11階層から20階層までも野菜系ではなく果物系のモンスターが出現する。

 だが通常のスライムやホーンラビットとかゴブリンなどの通常種のモンスターもちらほら出現する。

 

 そして21階層から30階層までは肉系の魔物が出現する。

 倒すとモンスター肉を落とす。

 中には既に市場ではキロ50万円という高価な値がつけられているようだ。


 そして31階層から40階層までは通常種の強敵と言えるモンスターが出てくる。

 あまり説明する必要はない。

 リザードマンとかオークが出てくる階層である。

 

 そして41階層から50階層もなかなか強いモンスターが出るがこの階層では稀に半漁人が目撃される。

 マグロ魚人とかいう名前で物凄い強さだが倒すとなんとダンジョンマグロとか言う物凄い美味いマグロを落とす。


 このマグロ魚人はかなりレアだ。

 なかにはフグ魚人とかブリ魚人とかも出てくるらしい。

 どれも途轍もない美味さだと言うらしい。


 そうしてそんな美味なるダンジョン食べ物をスルーして63階層までリスティは来ていた。

 と言ってもすべてのドロップ品は拾って魔王重匣(ディザスターボックス)に収納しているが。

 63階層にはデスメタルナイトが出てくる。


 甲冑が黒く刺々しいほどに頭が尖っているし、鎧の一部が棘で覆われているほどの鋭利さを備えているモンスターだ。


 リスティは自身の拳を魔力で硬化させる。

 そのまま思いっきり殴り飛ばした。


 デスメタルナイトが虚空でも飛んでいるかのように宙を舞い突風のように飛んでいく。

 デスメタルナイトはそのまま壁に激突して死んだ。

 

 デスメタルナイトのドロップ品は兜だ。

 アダマンタイトの兜でかなりの防御力がある。

 これも魔王重匣に放り込んでおく。

 後で売るためだそのくらいはする。


 リスティはめんどくさがりだが生きるためには必死なのだ。


 そのままデスメタルナイトを粉みじんにしていく。

 出てきては殴っては飛ばし、殴っては飛ばしを繰り返す。


 そのまま64階層まで歩を進めた。


 すると目の前に誰かいる気配がする。

 モンスターと戦闘をしている人がいる。

 右手には小ぶりの短剣を装備して、左手にも少し長いがやはり短い小剣を装備して肩にスライムを乗せている男性がいる。


 相手はリッチキングナイトだ。

 途轍もない強さをもつAクラスのモンスターだがリスティにとっては雑魚同然だ。

 だがそんな途轍もないモンスターを短剣で高速で切り裂いて倒している男性が謎だ。


 人間にそんな強い奴がいるとは思えない。

 だがそんな彼がとても謎でミステリアスな雰囲気を醸し出していた。


 リッチキングナイトを倒したので意を決して話しかけてみた。

 


 後ろの気配には気づいていた。

 だが64階層まで潜れる奴がいたことに俺は驚いていた。


 何せ日本橋ダンジョンは一般解放されたばかりだ。

 まだ数日しか経ってない。

 なのに64階層まで潜れる奴が俺以外にいることに。


「あのっ!! あなたは何者なんですか?」


 見ると、クリーム色がかった金髪でセミロングの髪型の少女がいた。

 服は珍妙なごてごてした服装だ。


 だがスカートがミニだ。

 すっごく短い危なげなその短さは中身が見えそうだ。


 拓朗はそんな一見するとそんなに強そうじゃない少女を鑑定していた。


 すると職業が魔王でレベルが103もあることがわかった。

 だが権並ステータスが化け物じみている。

 俺の100ぐらいの数値じゃない。

 たぶん俺のレベル200ぐらいに相当する。

 といっても俺のレベルは既に379もある。

 

 そろそろ400になるかなと言った感じだ。

 だがこの少女は何者なんだろう?

 まさか本当に異世界の魔王だったりするのかな?


 拓朗は魔王リスティに話しかける。


「君こそこんな深いところにこれるなんて凄いんだね」


「お兄さんだって凄いですよ! さっきの短剣裁き見事でしたね」


「見てたのか……まあ短剣は狭い通路で戦う用の武器だね。普段は片手剣を使うんだがたまには短剣もありかなと思ってね」


「しかも二刀流じゃないですか」


「二刀流だと連撃できるからね」


「あとあなた何か身体能力を底上げしてない?」


「凄いね……よく気づいたね」


「体に纏っているオーラが通常の人間と遥かに違うんだよね」


「眼も凄いんだね君はええとリスティちゃんだっけ?」


「まあ鑑定スキルはあるよね私も持ってるし」


「そうなんだ」


「なんでレベル偽装してるの? 絶対75じゃないよね?」


「ばれてた? なんでわかった偽装してるって?」


「リッチキングナイトを一撃で倒せるのは不可能だよレベル75じゃねえ」


「それは気をつけたほうがいいね。じゃあ見抜いた御詫びに本当のレベルを教えてあげようかな」


 拓朗は偽装を解く。

 リスティは不敵な笑みを見せていた。

 だが内心は多少驚いていた。

 200以上あるとは思っていたがここまで高いとは思ってなかった。


「面白い人間だな。私よりも強いだろあなた。気にいった凄く……私の配下にいれてやるぞ」


「君って本当に魔王なの?」


「最近なったばかりで、あまり実力が伴わないかもしれないよ」


「だろうな。体に籠っている魔力と気が均一じゃないな」


「へ~そういうこともわかるんだ」


 リスティはこの拓朗と言う男性に興味津々だった。

 たぶん戦ったら負けるだろうと思わせるほどの実力を備えている。

 それでいて好みだったリスティのドストライクな容姿だった。


「一緒にダンジョンを攻略するぞ!」


「別にいいよ。魔王の実力を確かめるのも楽しそうだし」


 拓朗とリスティとスランは一緒にダンジョンを攻略するのであった。

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