第76話 東京事変2
ジュナビロスがいち早く目覚めて怪光線をビルに発射した。
だが、アリエルがすぐに止めに入った。
「させんぞこの鳥頭竜め……われの絶壁の前に天意無法に帰るがいい……とかかっこいいこと言ってる間に止められたよたぶん……」
アリエルがそのまま厳格に幻覚な魔法を放つ。
アリエルがそう呟く。
「そんなモノローグじゃなくてねえ……アリエルは颯爽と幻に秘術を強圧に放って、ネンジューな魔ドロシーにグラングランに魔法を痛めつけたてっかねぇ……もの書きさんはセンスがないね」
「アリエルのセンスを少し疑うぞ」
その後無麗が軽く10メートルほど跳躍して、日本刀を抜く。
「嶽那仙斬(がくなせんざん)!!」
気圧が圧縮されたような音が木霊する。
ジェットエンジンでも破裂したのではないかという音である。
刀の軌道が読めない。
その無軌道だが根本的に何かが違う刀の軌跡を追うことは常人では不可能だった。
ジュナビロスの右翼が無様に切り落とされた。
虚空に浮かぶ胡蝶は竜を撃ち滅ぼさん。
殲滅の狼煙が上がる。竜を打倒するがのごとく、黒髪の武人は空で歩を描いている。
空歩術と呼ばれる歩行術だ。
空を歩くもとい走ることができる歩行術だ。
空に停まるほど怪しく慎ましく無麗は戦慄の剣筋で刀を右に振り払う。
瞬間、絶空に無数の石が出現し、刀の軌跡に吸い込まれるがのごとく無数の石がジュナビロスに吸い込まれていく。
ジュナビロスが雄たけびをあげる。
ジュナビロスは体が粉々になるほど石による打撃を受けた。
破壊的壊滅的に鳥頭の竜は絶叫した。
それもそのはず、無麗は特殊な能力を備えていた。
剣や刀を振るうとその剣筋、もとい周りに歪な石が出現して敵に命中するというもの。
石の数はランダムだが、最低でも十数個で多いときは数十個にまで膨らむ。
能力の名前は『石乱雲』。
彼女がレベル100ボーナスの時に天から貰った独自能力(ユニークスキル)だ。
「容赦は無いぞ」
無麗はそのまま気を最大限に高めて、天空を斬り裂く大技を放った。
「大火斬(だいかざん)!!!」
空を割る火柱が天空にて迸る。
鳥竜はゆっくりと空から眼を虚ろにして落下していく。
虚空から無麗は何事もないように降りた。
「ジュナビロスが倒されました総統」
「なんだと……!? こんなに速くだと!?」
「いかがなさいましょう……」
「ソロムバルをいかせろ」
「承知しました」
謎の組織が暗躍する中、紫陽花の姫騎士団は移動していた。
そのころ銀座で探索者たちはテンドライガと呼ばれる鳳凰を相手にしていた。
鳳凰は雷を放ち、火を吹き、氷の棘を飛ばしてきた。
三位一体の属性を操る鳳凰の前に、探索者たちは尻込みしていた。
そこに紫陽花の姫騎士団が到着する。
だがすでに戦っているものもいた。
謎のヒーローマスクをつけている仮面の男? がいた。
だが例の稲荷仮面とは違う。
紫陽花の姫騎士団もそこは疑問に感じた。
だがアリエルがそこで発言する。
「あれは……!? まさかの愛知県限定のご当地ヒーロー……勇者ライダーだと!?? なぜこんなところに?? これは期待できるかも!!」
どうやら勇者ライダーと呼ばれるヒーローらしい。
たしかに剣を持っている。
ごてごてした勇者の鎧のようなヒーロースーツを身につけているし。
勇者ライダーは魔法を放っていた。
勇者のみが使える魔法というわけではないが、雷魔法を放つ。
テンドライガが抵抗するが少しだけ翼に傷がつく。
だが鳳凰の致命傷には至らない。
勇者ライダーはさらに追撃をしかける。
3メートル跳躍して地上付近を旋回する鳳凰に勇者の剣で斬撃を加える。
全身全霊での一撃をぶつける。
鳳凰は少しだけ仰け反り怯む。
勇者ライダーは飛び道具を使用する。
勇者ブーメランを使用した。
魔法による制御で必ず手元に戻ってくるのだ。
だが勇者ライダーに危機が。
鳳凰が灼熱の火炎を吐いた。
勇者ライダーは一瞬のうちに高温になる空気を吸い込んで肺に致命傷を受ける。
しかしそこにアリエルが回復魔法をかける。
「君~大丈夫?? こんな実力であいつを倒せるの?」
「余計なお世話だ」
そこに横やりというか謎の修道服を着た少女が入ってきた。
「勇者様!! もう我慢できません!! 助太刀します!!」
「ほよっ? 誰っすかこの少女は?」
「マギア!?? なんでお前がここにいるんだ?? 自宅に置いてきただろ!!」
「転移魔法で東京まで来ましたよ 誰かさんが心配でね」
「どうやらお仲間のようですね……ここはアリエルちゃんはお邪魔のようですね……でもあんたたちだと負けそうなんで助太刀しましょうかね☆」
湖鳥がすぐにアリエルたちを守るように姫騎士団たちに命令する。
そして戦いが始まった。
そのころ……大阪から突如として高速の発光体が上空を飛んでいるのが自衛隊のレーダーに記録されている。
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