第34話 日本橋ダンジョン探索その1
東樹は念のために後ろにつけている奴がいないかを確認している。
現在1階層の中盤辺りに差し掛かっているだろう。
中はひんやりと暗く、だが少しだけ明るい普通のダンジョンだ。
そして2階層の階段が見つかった。
2階層に降り立った時に東樹は影転移を使う。
自宅にいるルミルを連れてきた。
「東樹さん。今日はお仕事の予定でしたよね? 突然どうしたのですか?」
「日本橋ダンジョンを探索を命じられたんだ。だから俺一人だと不安だからこっそりルミルも協力して欲しいんだ」
「もちろんよろこんで。東樹さんが私の衣食住を提供してもらっているのですから当然ですね」
そうして日本橋ダンジョンを探索する。
出てくるモンスターは野菜みたいな形状をしている。
ドロップ品も本当に野菜だ。
試に大根を齧ってみたが物凄く美味しい。
市場に出回っている大根よりもとんでもなく美味い。
そしてあっという間に10階層のボス部屋にたどり着いてボスを速攻で倒す。
そのまま11階層まで来た。
景色が一変する。辺り一面草原が広がっている。ダンジョンの中なのに室内が太陽の日の光によって照らされている。草が生い茂っていて腰ぐらいまで高さがある。
これではモンスターの奇襲が行われそうだ。東樹の気配察知が頬の熱が高ぶるように反応している。右斜め前方からモンスターが襲い掛かってきた。
鑑定すると岩猿と出た。
肌が岩のようにゴツゴツしていて、濃い茶色で体格が成人男性より少しぐらい低いたぶん身長150センチメートルぐらいだと思われる。
岩猿は猛烈な突進を行ってきた。幻影回避を行う。そのまま四方八方から行われる突進を回避する。
ルミルは影網衣を着せているのでダメージをかなり軽減できる。
万が一の時は東樹が援護するが。
そのまま岩猿が右拳で殴りつけてくる。東樹は影纏いで強化したナイフで突き刺す。そのまま瞬動移動で、岩猿を次々とヒットアンドウェイの用量で倒していく。
瞬動移動はMPを使用しない移動方だ。
だから多用できる。体力が続く限り永遠に出来るので便利だ。
岩猿は血を口から流しても眼に力が籠っている。興奮と怒りを備えている岩猿は最後の力を振り絞って、全力のタックルをかましてきた。
影操作で影槍と影剣を作り出して全力で切り裂いた。
合計18体の岩猿は全滅した。
あまりにも弱い。東樹はそう思った。
だがこの後の敵がやっかいだと思った。
17階層の草原地帯に出てきたモンスター。
爆炎象(バーストエレファント)。巨体な真っ赤な象で途轍もない大きさだ。4メートルはあるんじゃないか。歩くごとに爆発が起こる地面で。
爆炎弾を放ってきた。そう呼ぶしかない爆発の炎の塊が飛んでくる。
瞬動移動でルミルを連れて回避する。
影双剣をぶつけるが砕け散る。堅い敵だった。ならば魔黒天影装を使った。
黒い魔装が東樹を包み込む。影が何重にも覆いかぶさり、影魔装が黒いタキシードのような恰好に変貌する。
物凄く速く動いた。疾風、いや雷速とも思われる速さだった。そのまま天影魔黒剣で袈裟切りに切り裂いた。
爆炎象は一瞬で熱したナイフでバターでも斬ったのかのように綺麗に分離された。
ドロップ品はマジックスクロールだった。
どうやら魔法が覚えられる巻物のようだ。
マジックスクロールは東樹の情報によると初めての品だ。
魔法が覚えられる巻物なんてダンジョンwikiの情報にもない。
どうしようと思ったが、ルミルに覚えさすことにした。
覚えられた魔法は『爆炎弾』。爆炎象が使っていた魔法がそのままだった。
ルミルは攻撃魔法は風魔法と光魔法ぐらいしか覚えてなかったのでなかなかラッキーだった。
星光の煌めきは天から星のような形の光が降ってきて敵にダメージを与えるマジックスキルだ。
ただ大量にMPを消費するのであまり使い勝手が良くない。
だが雑魚モンスターが100体とか出てきたときとかは使えるだろうが。
現在の東樹のレベルは72。
ルミルのレベルは45だ。
そろそろ新しいスキルを覚えたい。
選択できるスキルは『無骨滝流』、『重黒破断斬』、『影幻玉』、それぞれ必要SPは300、400、500だ。
影幻玉が面白そうだ。
後レベルが1上がればスキルポイントが500貯まるからスキルを覚えられる。
18階層にやって来た。電撃蝙蝠が現れた。
速い、ムササビのようだ。電撃の素早さで近づいてくる。
幻影回避しつつ影隠滅を使い背後から忍び寄る。そのまま影纏いで影強化をさらにかけつつミスリルショートソードで切り裂いた。
一撃だった。ドロップアイテムは蝙蝠の羽根と小瓶に入った黒い液体。
鑑定すると蝙蝠の羽根は使用すると敵から逃げやすくなるアイテムらしい。
黒い液体はブラックスピードドラッグという名称だった。
使うと速さが20パーセント上がる、3分間のみらしい。
ただし3分後速さが1分間5パーセント下がるらしい。
デメリットのあるアイテムなのかこんなものまであるとは。
電撃蝙蝠を倒しまくる。
ルミルも風魔法で支援する。
18階層の草原をひたすら走る。
ルミルもなんとかついて来れている。
そして階段が見えてきた。
19階層にやって来た。
またもや草原だ。だがこんどはどんよりと空が暗くなって黒い。雨でも降って来そうなほど雲が真っ黒だ。
骸骨将軍が現れた。
俺は咄嗟に叫んだ。
「ルミル!! 防御魔法を使え自分にだ!!」
「はい! 東樹さん……」
骸骨将軍がルミルに突撃していた。
なんと言う速さだ。俺が影転移してなかったら間に合わなかった。
影網衣をルミルには着せているから大抵の攻撃は通らないが……
骸骨将軍の持つ大太刀がルミルの風魔法の防風壁により守られているが、直ぐに骸骨将軍が背後にワープした。
アンデット系のみが覚える死霊転移が使えるだと!?
こいつまさかAランクモンスターなのか?
俺のレベルはかなりの物になっているが経験が足らない。
影よ俺にもっと力をよこしやがれ!!!
足りない、足りないぞ!! ルミルを守れるほどの力が欲しい!!
【(TM66677SHB8)……スキル『影集合』を獲得。(Jura666666789THB`)……決戦スキル『冥星影血乃極意』獲得。】
この時知らなかった。骸骨将軍はただの骸骨将軍ではなく死神武将に進化していた。
死神武将が持つランク詐称のスキルと名称詐称により自身の力を誤魔化していたことを。
東樹は自身の死よりルミルの死をこの時覚悟した。
一撃が通常のモンスターの比じゃない。ボス級のその先をいく災害か何かのモンスターだった。
「人間ヨ、この娘が大事カ……ならば私から守れるカナ……」
喋る魔物がどうとかいまさらどうでもいい。
影集合……間に合わない。
防風壁が破られる。
「東樹さん……今まで楽しかったです…………」
「ルミルーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ルミルの右わき腹が抉られるように斬られた。
俺の理性は限界を超えていた。
【(DHGGGGZ666666FTE)……殲滅スキル『虐死影酷殲滅心体乃狂化』を獲得しました。使用します】
俺の記憶はここで途切れた。暗黒の力に心を囚われた東樹はいったいどうなるのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます