第61話 メア

 アリスたちは日本橋ダンジョンに潜っていた。

 アリスはまだまだ実力が不足していた。

 だが少しずつだが戦闘能力が上達していった。

 魔法の錬度も上がっていった。

 火の魔法ならより巨大な炎を生み出すことができるようになり、水の魔法ならより強力な水を生み出して放ち、風の威力も破壊的になり、回復力も上がった。


 ロウガも戦闘技法が上昇していった。

 爪の形状をかなり色々な形に変形させることが出来るようになった。

 爪を槍のように伸ばして相手を刺したり。

 爪を大鎌のようにして相手の命を刈り取るなど出来るようになっていた。

 他にもロウガはスキルを使える。

 相手を恐慌状態にする魔狼の睨眼や味方の攻撃力を大幅に上昇させる魔狼の攻城拳刹を使える。

 さらに上昇率を上げるために技を敵に使いまくる。


 オルクも自身のスキルの超再生を強化するために敵の攻撃をわざと受けてスキルを発動するなどしてスキルの強化を試みていた。


 他にも伸縮と言うスキルを持っているので、巨大化して敵を踏みつぶすなどかなりの働きをしていた。

 

 アリスたちは日本橋ダンジョンの93階層に来ていた。

 敵はミッドナイトと呼ばれる夜の化身。

 不定形のモンスターなので物理攻撃が効きずらい敵だ。

 

 だがアリスの魔法はなかなか効く。

 ロウガも爪に魔力を纏わせて攻撃する。

 オルクも巨大化して握りつぶすように攻撃する。

 オルクも魔力を手に纏わせて攻撃する術をロウガから学んだ。

 よってこの階層もあまり問題じゃなかった。

 問題は96階層だった。

 かなりのパワーを持つアラブルドオーガが5体も出現した。

 こいつらパワーが桁違いだ。

 オルクが力負けしている。

 ロウガは素早さがあるから逆に翻弄しているが、それでもきついようだ。

 アリスは魔導銃に籠める魔力を大幅に上げた。

 そして特大の魔導弾をを発射した。

 ブオン! アラブルドオーガの腹に風穴があいた。

 そのまま特大の魔導弾を全てのアラブルドオーガに放った。

 

「流石です。アリス様」


「アリスやるんだな」


「当然でしょ」


 アリスたちは先を目指した。


 97階層で秘密の小部屋で宝箱を2つ見つけた。

 中身は一つは巨大な戦斧だった。

 マジンノイクサオノという名前だった。

 かなりの業物らしい。

 これはオルクが所持することにした。

 そしてもう一つ。

 中身は鞭だった。

 ラマンデスの鞭という名前だった。

 雷と光の魔法が付与されている。

 さらにバサライドメタルと呼ばれる幻想金属を素材に使っているようだ。

 グリフォン鋼鉄と呼ばれる魔物金属も使われている。

 両方の合金を取り入れているのでそれぞれの良いところがあるようだ。

 バサライドメタルはかなりの硬度を持つ金属でさらに攻撃力が上昇するこれを使用した武器を持つだけで。

 グリフォン鋼鉄はかなりの軽さを持つだけでなく硬度もある魔物金属でしなる鞭などの武器にちょうどいい金属と言える。

 ラマンデスの鞭はSランクの武器だと言える。

 97階層という深層ではかなりの良い武器が宝箱から出るようだ。

 アリスたちはかなり幸運のようだ。


 鞭か……私の使用武器は銃だけど、鞭も全体攻撃が出来る武器だし、リーチもあるのでかなり使えそうな武器だと思う。


 アリスはこれを使うことにした。

 さっそく98階層から使ってみたがなかなか使い勝手が良い。

 しかも魔力を籠めたら破壊力が上昇するようだ。

 敵をズタズタに引き裂くようだ。

 

 オルクの戦斧の使い勝手もかなり良いようだ。

 すんなりと敵のモンスターを切り裂いていく。

 オルクの腕も上がっているようだ。

 98階層のインテリリザードマンジェネラルもたじたじだ。

 

 98階層の中盤でオルクが新たなスキルを覚えた。

 剛鉄の体。

 体の防御力が大幅に上昇するスキルのようだ。

 オルクの防御力は少し不安があったがこれでかなり守りが強固になった。

 どっちにしろ超再生があるから体が傷ついても何とかなるだろうが。

 

 99階層に来た。

 ここで変な蜘蛛がアリスたちについてきていることにアリスが気付いた。

 最初はなんだろうこの蜘蛛と思った。

 普通魔物は勝手に逃げるか襲い掛かってくる。

 何もしないで棒立ちしているモンスターもいるがそれはかなりの例外だ。

 

 だが、ついてくると言う変な行動を取るモンスターがいるなんてあまりにも驚きだ。

 アリスは相手のモンスターが戦闘の意思がないことを聞いてみる。


「あなた、なんでついてくるの?」


「アメアメメアアアアアチャメ!!」


「なんて言っているかわかるロウガ?」


「たぶん仲間にしてくれと言ってます何となくしかわかりませんが」


「ふーん……どうしようか。まあ面白そうね、仲間にしましょう」


「いいのですか!? アリス様! 使い物にならない魔物だと足手まといですよ!!」


「おらはいいと思うずら。蜘蛛ちゃんかわいいだ」


 とにかくそんなことで蜘蛛の魔物が仲間になった。

 大きさは肩に乗れるくらいに小さい。

 だが毒液をかなりの量を吐き出した。

 他にも蜘蛛糸を発射して敵を拘束する糸を使ってトリッキーに移動するなど応用力がある。

 名前はアメアメ言うからメアにした。

 従魔にしたい場合お互いが主人が魔物を従魔にしたいと思う。

 魔物が主人に従いたいと思うだけで従魔登録は完了する。

 世界の声が従魔登録が終わったことを告げた。

 名前を付けた場合魔物の種族が進化する。

 ただこれは全ての場合じゃない。

 名前を付けた人物の魔力が高い場合やモンスターが特定の種族などの場合起きる。

 今回は種族進化が起きた。

 リュボラススパイダーがメルアドナスリュードスパイダーに進化したようだ。

 進化した瞬間にスキルを覚えた。


 『蜘蛛糸球』と『風波撃』に『エネルギーバリア』だ。

 蜘蛛糸球は蜘蛛糸で出来た球を撃ち出すスキル。

 相手を粘粘にして動きを封じるだけでなく破壊力もあるスキルだ。

 風波撃は風の波状の攻撃だ。

 エネルギーバリアは体の周りにエネルギーのバリアを張るスキルだ。

 これで敵を寄せ付けない。

 触れた瞬間に敵を弾き飛ばすようだ。

 どれも使い勝手が良いスキルを覚えたようだ。


 メアはかなりの素質を持った従魔のようだ。


 そして100階層の大ボスにまで来た。

 出現したデアルゴスと呼ばれる魔王種。

 SSランクのモンスターだが超特大の魔導弾を撃ちこんでみたが結構効いた。

 メアはエネルギーバリアを張って体当たりをしていた。

 ロウガも爪を破壊爪にして破壊の切り裂きを行う。

 巨大化したオルクも戦斧で切り裂く。


 なんとかデアルゴスを倒した。

 倒したらスキルを取得できた。

 魔女王の調教と魔女王の洗脳を覚えた。

 これまたあまりにもチートなスキルのようだ。

 試にロウガに使ってみたが洗脳は意のままに操り、調教はいたぶるとステータスを大幅に下げて屈服させる。

 言うことを聞く下僕の完成だ。


「はっ!? 私は何を…………アリス様の実験台になっていたが、天にも昇る気持ちだった……」


「ロウガってたいがい変態ね」


「変態!? 何を言っているのですアリス様!? 変態だなんて……流石に酷いです」


「ロウガは変態ずら」


 そうしてアリスたちはまた少し旅をするようだ。

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