第78話 絶対的強者のヒーロー
吹っ飛んだサンダーを受け止めたのは稲荷仮面だった。
「おっと悪いな……登場が少しばかり遅れてしまったようだな」
「あんたは……」
「俺のことを知ってるのか? まあ結構有名だと思うけど」
「俺はあんたに憧れてヒーローになったんだ」
サンダーは電撃系の能力者だ。
レベルは4で弱いほうではない。
だが圧倒的強者であるレベル5や災害級の一人で一国の軍隊と渡り歩けるこの世界での最大級の能力者レベル6にすら届かないのであった。
だがサンダーは努力を怠っていなかった。
毎日電撃を生み出して放つ。
それの繰り返し。
電気を具現化して槍に変えてそれをダンジョンのモンスターで試す日々。
毎日の繰り返し。
ボスを倒す日々。
それでもまだ足りない。
高みには化け物級の天災がいる。
裏の世界では名を連ねている能力者がいる中自分はまだまだの子供みたいなもんだ。
そんな中で最強の実力者というものを知った。
稲荷仮面だ。
能力者ではないようだが、ダンジョンで力をつけた人物だろう。
そんな最強に自分もなってみたい。
最強を超えた最上の自分を超えた限界を超えた天災に。
破天荒に生きてみたい。
親に何も縛られたくない。
稲荷仮面は自分の中でも最強という最強だ。
そんな最強が今目の前にいる。
孤高に立っている狐の面を被る自由人は、右手に圧を少しだけ籠めて、覇を唱えた。
「俺についてこれるなら、あの化け物を倒そうぜ一緒にな」
「いいのですか稲荷仮面?」
稲荷仮面は仮面越しでは表情が読めないが少しも自信を消失してないように感じた。
稲荷仮面は内心特に不安には思ってなかった。
それどころかなかなかの逸材を見つけたと感じていた。
(このサンダーとかいうヒーロー君……いやまあいい、こいつはかなり強くなりそうだな)
稲荷仮面は仲間は多いほうがいいと思っていた。
自分を信奉しているのならそれでいいと半分自分の知名度を利用していた。
実際自分の実力はあるがコミュニケーションは苦手で、参謀とかには向いてない。
参謀とかはトラネとかのほうが向いている。
そんなことを考えているとデュアボロスが眼前に迫っていた。
「私を無視するとは非常に不愉快ですね!」
「うるせえ!」
稲荷仮面が右拳を振りぬく。
デュアボロスが回避した瞬間、右手から炎をが弾け飛ぶ。
「響界花火(フラストレーション)!!」
弾け飛んだ焔の花はデュアボロスを飲み込んだ。
地獄の業火すら生ぬるいそんな破炎の剛撃。
咲かせた炎の花弁は悪魔を焼き討ち滅ぼす。
デュアボロスが焼かれている瞬間、コンマ1秒にも満たない瞬間右蹴りをお見舞いした。
吹き飛ぶ悪魔にさらに追撃。
デュアボロスが痛みを感じるよりも速く攻撃を加えていく稲荷仮面。
サンダーはそれを見ているだけじゃなかった。
自身は近接戦闘こそは苦手だが砲弾としてはまだ優秀だと判断していた。
そこでサンダーは電撃を放つために力を限界まで貯めていた。
時間は1分ほどだがそれでもデュアボロスは異変に気付いていた。
しかし稲荷仮面がそれを許すとは思えない。
予断を許さないほどの超連続攻撃を仕掛けていく稲荷仮面。
そんな攻撃のラッシュがデュアボロスを苦しめる。
「いまだ!! サンダー! 撃て!!」
「はい!!!」
「はっそれを喰らうほど私が間抜けだと……!?」
「大間抜けだな」
デュアボロスは油断していたわけではなかった。
だがデュアボロスは遅かったのだ単純に。
稲荷仮面が放った技は悪魔にも効果がある『金代封印結』
オリジナル技でたいていの強敵のスキルと動きを封じる。
金色の鎖で封じられてしまう。
約30秒ほどまったく動けないしスキルが使えなくなる。
サンダーは最大限の電撃を放った。
そしてデュアボロスはかなりの深手を負った。
止めは稲荷仮面が下した。
神光爆残剣を振り下ろしてそのまま終わらした。
悪魔は滅びた。
稲荷仮面とサンダーは秋葉原に飛んだ。
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