第8話 剣が喋るのはまあそんなに驚かないが人化するなんて予想がつかないよ

 100階層の踏破特典として貰えた剣が喋った。

 正確には俺の頭の中に直接話しかけてくる念話のような感じだったが。


『私を持つことが出来るとは、お前はかなりの実力者……いや勇者か? 少年?』


「なんで剣が喋るんだ?」


『私は意思のある剣というより魔剣だ。名をアグニスと言う』


「なんだと?」


 俺はそう言うアグニスと名乗る剣を鑑定してみた。


 魔剣アグニス……伝説の魔剣の一つ。意思のある武器で喋ることが出来る。持ち主に対して飽きさせないために伝説の魔族の鍛冶師が打った最強の武器の一つ。人化することもできる。


 はっ!? なんだと人化だと。


「人化できるのか?」


『そんなこともわかるのか。流石我がマスターだな。いいだろう人化してやる』


 そう言うと魔剣アグニスが光る。

 そしてナイスボディの浅黒い肌の赤髪のお姉ちゃんになる。

 しかも裸。

 っておいおい何で裸なんですか?

 DTだから流石に刺激が強すぎんだけど。


『マスターはこういうのが好みだと思ったが違ったか?』


「違わないけどさ、でもこういうのはその順序という物があるんだよ」


『それじゃあ服もイメージするよ』


 そう言うとアグニスは服を一瞬で着る。

 上はTシャツ。

 下はワイルドなショートパンツ。

 しかしどうする。

 こんなの家に連れてかれないぞ。


「とりあえず戻って」


『ええっ~~~なんで、せっかくマスターに出会えたのに。もっとお外に出たい』


「じゃあ今度な今はそんなことより地上に戻ることが先決だ」


『わかったよ。マスターの言うとおりにすることにする』


 そうして俺達は100階層の転移の祭壇に触れて1階層まで戻ってきた。

 そして蔵に戻る。

 なお無限収納空間に入れることができるようだアグニスは。

 それでも念話で会話が出来た。

 別枠で特別な空間に保存されているのかな?


 


 次の日、街を見て歩きたいというアグニスの要望により一緒に出歩くことに。

 アグニスが立派なドレスに身を包む。

 なんか凄い美人だ。

 魔剣とは思えない。

 アグニスは遥か昔の異世界で生まれたようだ。

 当時の伝説の魔族の鍛冶師ヴァルファエムという伝説の鍛冶師に作られたらしい。

 そして時の権力者に良い様に使われないようにと古のダンジョンに封印したとか。

 ちょっと酷くないヴァルファエムさん!?


 こんな美人を封印とか……もったいない。

 

 なお日本語が出来るのは俺が最初に触れた瞬間日本語を完全に分析して習得したためらしい。

 それだけのことが出来るのは意思のある魔剣なのだから当たり前だとか。

 すげえな魔剣。


 そして街行く男性の羨む視線を感じながら、俺達はデートと久々の生ぬるい甘い雰囲気に呑まれた。

 服を見て回ったり、美味しいスイーツを食べたりした。

 なお服のイメージで現実に自分の服として再現できるので、服は買わなくてもいいらしい。

 なお魔剣なのにスイーツを食べるのは当たり前だとか。

 アグニスは甘いものが好きなんだとか。

 ご飯もたくさん食べるぞと。

 なんか食費がかかりそうな剣だな~と思った。


 そして魔剣なのに異世界の漫画やラノベに興味を持ったのか、買って欲しいとせがむ。

 まあそんくらいいいが。

 そして俺達は家に帰った。

 爺ちゃん婆ちゃんには友達ですと紹介しておいた。

 婆ちゃんはこんな美人さんの友達が出来たのか~と感心していた。

 爺ちゃんは別嬪さんじゃなと褒めていた。

 二人ともにやにやしていた。


 これで俺の家にどうどうとアグニスを人間形体であげることができることになった。

 アグニスは感心していた。


「これなんて初めて見るぞ拓朗!! なんだこの四角い物は??」


「これはなテレビと言ってな、こうするんだぞ」


 俺はテレビをつけてみた。

 今は夕方の4時くらいなのでワイドショーしかやってないが。


「ほおほおこれは……!! 凄いぞ拓朗!! なんて素晴らしいものなんだ」


 アグニスがテレビに夢中だワイドショーや再放送のドラマしかやってないがじっくり見ている。

 ただここで画面が切り替わった。


『緊急速報です。現在緊急報道番組に切り替わります』


「ええっ~どういうことなのだー!?」


 番組がドラマからニュース番組に切り替わった。

 そこでキャスターから驚くべき言葉が出る。


『現在東京渋谷スクランブル交差点です。謎の黒い渦が出現しています。そこで謎の怪物が出現したと情報が入りました』


 俺達は緊急特別番組を見ていた。

 驚くべきことが世間では起きていたのだ。

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