第84話 新潟にて

「騒がしい……」


 新潟の地にて足を踏み入れていたアリス達。


 つまるところキャンプinキャンプなのだが、そこには新たな仲間がいた。


「アリスお姉ちゃん~この薪ここでいいの~~~??」


「そうよヴァン君~偉いね~(ハート)」



 離れたところでロウガとオルクは話をしていた。


「アリス様あの吸血鬼の子供に熱中しているだす」


「アリスお嬢様があんな腹黒餓鬼野郎に……」


 最近アリスが冷たいと呟くロウガとオルク。


 そこでメアが二人にアドバイス。


「大丈夫です。ロウガもオルクも気を落とさないで、アリスは飽きっぽいから大丈夫だよ!」


 なおメアは人間の女の子みたいな感じの姿になっている。

 ただし足は蜘蛛の足だが。


 数日前にというか結構前にメアが手に入れた擬態の能力だ。


 人間の姿に化けるだけでなく言葉も習得した。


 アリスの介護をしているといっても過言ではない。


 アリスは最近体を動かすのが面倒くさいのかメアにご飯を食べさしてもらったりしている。


 ヴァン君もといヴァンパイアの吸血鬼の種族の子供。


 出会ったときはボロボロのボロボロで酷い有様だった。


 ヴァンは研究所で捕縛されていた。


 人体実験で色々なことをされそうになっていたが自力で逃げ出した。


 

 それでも追っての手はあった。


  

 アリスはその時ヴァンを捕まえようとしていた奴らを逃がす気はなかった。


 不機嫌だった。

 

 アリスはそれでも無期限の監獄から放り出されたようなそんな瞬間だった。


 なんで吸血鬼であるだけで人間はこの子を実験材料にするんだ。


 

 許さない





 アリスは厳しい一撃を追手の捕縛者に放った。


 左足が木っ端みじんに砕けた。


 そのまま殺してもよかったがあえて右目を潰すだけに留めた。


 

 ヴァン君は子供の吸血鬼だった。


 だがそれでも精神は大人のつもりだった。


 雲を掴むような話だった。


 研究員の追っ手を撒くのは大変だったが、それでも旅は続けた。


 そして今は新潟にいる。


 今日は美味しい卵かけご飯の店があるという情報を聞いてやってきたのだ。


その卵かけご飯の店にやってきた。


 だが問題が生じた。


 店がやってないのだ。


 どうやら店主がかなりの高齢なので店を閉めたようである。


「そんなのってないよ……」


「まあアリス様……」


「それならオラたちで作るっていうのはどうずら?」


「アリス! アリス僕たまごかけごはんというのを食べてみたい!!」


「ヴァン君……よしいいよ卵を探そう!!!」


 そして私たちは卵を探しにダンジョンに突入した。


 そこには立て看板があった。


『伝説の卵を探す探究者よ……最奥には伝説の金の卵が存在する。』


 なんとこのダンジョンの最奥には伝説の金の卵があるという。


 そんなものが本当にあるというのだろうか?


「私は信じるよ……こんなのって信じるしかないでしょ」


「アリス様……こんなの悪質な悪戯ではないのでしょうか……」


「卵! たまご!!」


「いくずら! たまご食べたいずら!!」


 みんなで行くことにした。


 でもロウガが乗り気でない。


 じゃああんたはそこで待ってなさいとアリスが命令した。

 

 ロウガは素直に命令に従ったが、半分いじけていた。


 ロウガはアリス様ならそれでも自分はついてくると信じていると、ロウガは信じていた。


 アリスはそんなこともつゆ知らず、ダンジョンに足を踏み入れていた。




 あっさり45分ぐらいで最下層に到達した。


 そこにはタマゴ魔人のお部屋と書いてある部屋があった。


 アリスは不思議そうにしつつ、それでも興味津々でその扉を開いた。




「やぁ……待っていたよ金木犀の魔女よ」


「誰? あなたは一体……」


「私はこの世のタマゴ好きの賢者どもの妄想が作り出した、タマゴの化身。タマゴ魔人さ」


 その姿は真っ白な純白の白白とした運河のような、タマゴそのものだった。


 正確には足がついているが、漫画のような細いペンで書かれた漫画のような足だった。


 こんな出鱈目な存在が目の前にいる。

 

 アリスは興味津々だった。


(こんな漫画みたいな存在がいるなんて……おもしろいわね!! こいつを仲間にしたら面白いことになりそうね!!)


「あなた! 私の仲間になりなさい!!」


「だが、断る!!!!!」


「早すぎるわよ!!! しっかり考えなさいよ!!!!」


「ならばしばし熟考しよう………………よしいいぞ!!」


 今度はかなり早すぎると思ったアリスだった。


「ただし……この私を倒せる実力がある者のみだ!!!」


「乗った!!!」


 アリスはすぐさま戦闘態勢に入る。


 アリスは金雲星の鞭を奮う。


 しなやかに跳ねるように飛び舞い踊る鞭は金蝶のように生い茂る。


 静かに動いているようで大胆に優雅に跳ね踊る鞭はタマゴ魔人を凌駕した。


「むだむだむだむだむだ!!!!!」


 だが一つ一つ鞭を弾き落としている。


 だが自身の体のタマゴにヒビが入っている。


 ヒビ入っているんですけど~~~~!?


 流石にツッコミを入れたくなるアリスだった。


 だが次の手段に入るアリス。


 魔法を放つ。


 風魔法で吹き飛ばす。


 力を示せといった。


 ならばこれでわかってくれるだろう。


 ウィンドドラゴンフォース!!!



 


 タマゴ魔人が砕け散った。


 その瞬間卵からタマゴが生まれた。


 どうなってるんですか~~~~~!?


 こいつやはりギャグ時空の存在なのか。


 とアリス達は思う。


 もちろんそんなわけはない。


 いや若干ギャグキャラなのかもしれない。


 彼のタマゴ魔人の生まれつきのスキル。


『不死鳥の再生タマゴ』の力によるものだ。


 やられても砕かれても食われても、タマゴは再生する。生まれる。


 そんな漠然としたスキル。


 聞かされたアリス達はそんなの最強じゃないかと心の中でつっこむのだった。


「もういい……君たちの実力はわかった。だからご褒美にこれを上げよう」


「これは……タマゴ? と笛……??」


「このタマゴはわたしが実力を認めた存在に渡すご褒美のタマゴだ。美味いぞほっぺたが落ちるぞ。そしてその笛は私が仲間になった証だな」


「仲間になってくれるの??」


「あくまでも一時的というか助っ人だな」


 つまり……


「その笛を吹いた瞬間15分だけ君たちのもとに駆け付ける。そして10回吹き終えたらそこで終了だ。また私に力を見せて認めたらさらにグレードの上の笛を授けよう」



 とか何とか言って消えていった。


 タマゴ魔人とはなんだったのか。


 まあいい。


 アリスは貰ったタマゴを早速ゆで卵にして食べたら物凄い美味さだった。


 ほっぺたどころか頭が落ちそうだ。





 現在金雲星型箒状ロッド空戦魔導車に乗って正確には中に入り込んで自動操縦だ。


 アリスが作り出したその魔法の杖は中が異空間になっていて結構広い。


 2DKぐらいはあるその広さの異空間で東京を目指して飛んでいる。


 光学迷彩をかけており外から誰かに発見されることはない。


 だが遥か前方から光線。


 すぐに緊急回避した。


 謎の男が空中に飛んでいる。



「なんだこの変な箒は……撃ち落とそうとしたらよけやがる……」


「誰……!?」

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