10話 乗れるかどうか試してみます?

前の市長は、イケメンとは言えないまでも、感じの良い顔立ちをしていた。


マネキンの様な市長の胸の前には、高架橋があり、妖精のパイロットが、コックピットに今すぐにでも乗れる状態だった。


まるで、兄・狼図の部屋にあったプラモデルの格納庫ジオラマそのものだ。


騰子は、その市長の使鬼の横に立って、動きを止めていた。


まるで自分も魂の入っていない使鬼の様に・・・


何がしたいんだろう?

笑わせようとしてるの?

ちょっと怖いんだけど・・・


一見、人と見分けが着かないけど、人とは違うセンスを、持ってるのかも知れない。

思惟たちには、それがどういう意味なのか、判断出来ずスルーすることにした。


格納庫の全体に照明が照らされと、巨大な恐竜や翼竜が姿を現した。

博物館と違い皮膚や肉付だ。


「すっげーーーーー!」

思惟裸裸と汎都&舞夢は大喜びだが、シルスはそれどころじゃなかった。


「前の市長が使鬼だって事は、もしかして今の市長も使鬼なんですか?」

「今も・・・と言うか、市長も昔の領主も、ずっと私たちが送り込んだ使鬼です」


会璃(あいり)の、答えにシルスは驚いた。

正確には・・・シルスだけが驚いた。その他の思惟は、


「ねえ、ねえ、これわたしたちも乗れるの?

オリジナルの時、姫さまの使鬼に乗ったみたいに」


裸族と汎都(ぱんと)&舞夢(まいむ)は、遊園地に遊びに来た子供のように目を輝かせた。


「それは・・・・」

会璃は、言葉を選んだ。そして、

「あなたたちの魂の状態次第です」


魂の状態・・・・


それは、思惟オリジナルの時とは、魂の状態が違うって事?


それはそうだよね。12人に増えちゃったんだから・・・

シルスは、自分自身の状態に恐怖した。


自分が、未知の者へ変わってしまったかも知れない恐怖。

いや違う、今も変わって行ってる気がする。


多分・・うん。


「我々は、今、あなたたちがどのような状態なのか、判断出来ずにいます」


会璃は、シルスに向かって話していたが、シルスのかなり青ざめた顔を見て、思惟裸裸と汎都・舞夢に話を振った。


「乗れるかどうか試してみます?」

「イエーイ、もちろんですぅ」

思惟裸裸と汎都・舞夢は、声をそろえて歓喜した。


なぜ?なぜ?なぜ?

なぜ?こいつらは、こんなに能天気に喜べるの?

シルスは困惑した。


市長の横で動きを止めていた騰子が、シルスに向かって微笑んだ。


ちょっと寒気が走ったが、なぜかその微笑みは、シルスの心の奥に強く突き刺さった。


それは痛みではなく、安らぎだったような・・・



つづく




いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)




思惟たちヽ(*'0'*)ツ


思惟オリジナル(15)  旅館の女将修行中


【チーム・北の島】

α・・・ちょっとアホっぽい。弄られ少女。

β・・・ 賢者な少女。

璃琥(りく)・・・高跳び少女。美少女戦士。

思惟・女将・・・大人びた少女。



【チーム・南の島】

シルス・ ・・ デジカメ少女。日記を記す。

思惟裸裸(しいらら)・・・ コテカを装着した裸族の少女。

汎都(パント)・・・ シルスと裸族が大好きな少女。

舞夢(マイム)・ ・・キャラはパンちゃんと同じ。



【チーム・西の島】

ちーず・・・兄の狼図を嫁にしたい少女。

φ・・・ 初恋の少年を忘れられない。人形使い。

Ψ・・・ 惣菜買い出し担当。お金の管理を担当。

Ω・・・地下での記憶を持つ。全思惟の記憶を知る。

ν ・・・?

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