7章 あゆた
1話 入口の街
朝から、はなもりが接続式神のコックピットにいた。
何となく母体にいる双子の胎児のような気分だ。
はなもりはシルスの膝の上に座り、はなもりの柔らかな身体の感触を感じた。
その感触に、妖精と人間の違いは感じなかった。
コックピットの360度スクリーンに、石造りの家が映し出された。
その人の気配のない石造りの家並みは、少しだけ奇怪だった。
「なんか地上の街とは雰囲気が違う」
シルスの問いに、碧依が
「この街は、地上とは異なる系統の文明ですからね。
美意識とかも異なって来るのでしょう」
進む方向には、大きな岸壁のような建物が建っていた。
一見、山の様に見えるが、良く見ると人工物の様に整然としていた。
接続式神は駿馬・夕凪に乗ったまま、草の生えた石畳を進んだ。
大きな岸壁のような建物の前に着くと、碧依が口笛を吹いた。
静かな街に碧依の口笛が響き渡った。
「誰かに合図を送ってるのかな?」
「それっぽいですね」
数分後、岸壁のような建物の壁が、ゆっくりと開いた。
開いた壁の向こうには、真っ暗な闇が広がっていた。
照明はまったく着いてなかった。
「真っ暗だよ」
シルスの言葉に碧依は告げた。
「さあ行きましょう」
石畳の通路らしい事は、解った。
通路は大型トラックが通れるほどの大きさがあった。
暗闇でも接続式神は、夜眼が効くらしく、その石畳が良く見えた。
静かな石畳の通路が、ずーと続いていた。
真っ暗な闇の中で、馬の蹄の音と馬車の音が響いていた。
「どうしてるかな~わたしの分身たちは・・」
シルスは、ふと呟いた。
つづく
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