2話 その恐ろしいくらい可愛い声に(歓喜)

骨董品の姿見鏡に、刀を持った15,6歳の少女が、旅館のバスタオルを巻いた状態で映っていた。


お風呂上がりのほのかな良い香りを、あらわになった白い肩が少女の色香を発していた。


お兄ちゃんなら大変な事になってしまいそう・・・


部屋の内湯から湯気が漏れて来ていた。

今まで入っていたらしい。


勝手に私のお風呂に!


「ゆっくり姫さまを離して」


「姫さま?」


バスタオルを巻いた少女に言われるまま、思惟は黄金の甲冑を着た武者を解放した。



解放された武者は、「ふぅー」と息を吐くと

「こんな簡単な囮作戦に気づかないないとは、将としてまだまだね」

と何かほざいた。


「・・・て言うか、落ち武者を解放したんだから、刀下ろして」


「落ち武者言うな!」


と今まで聞いたことが無いくらい透き通った声が、部屋に響いた。


思惟は、その恐ろしいくらい可愛い声に何か異質なモノを感じがした。




つづく

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