11話 この子の声、結構お気に入り

モニターに、妖精の工兵隊の様子が映った。

小さいながらも鎧兜の様なものを着ていた。

表情は見えないが、雰囲気は恐怖に満ちていた。


その上空で、深い霧の中、幾つもの爆発の閃光が輝いた。


「秘匿していた高射隊が、ロケット弾を迎撃してる光よ」


閃光の下で敵兵は神将級燎を恐れつつも、少しずつ間合いを詰めてきた。

敵兵の手には、斧の様な武器を持っていた。


「あれは対神将級兵器。

奴らがどこで手に入れたのかは知らないけど、

この鎧と同じ金属で出来てるから、かなり危険」


斧の形は、現代戦の武器としては原始的だ。


「姫様、情報上げます」


無線から少年の声が聞こえた。

すると姫様はにやけた。


「この子の声、結構お気に入り」

姫様が囁いた。


「言うてる場合か!」


真面目な優等生って感じの声だった。

姫様と違い、その声はかなり切羽詰まっていた。


神将級燎(かがりび)のコックピット内に、立体フォログラフが現れ、戦況が映し出された。



「電磁波遮断情報封鎖完了しました」

「予想以上に敵が多い・・・・工兵隊は大丈夫?」

「敵兵に阻まれて侵入ができません」

「・・・・工兵隊は総員退去。結界内は式神がなんとかする」

「了解」



「さ~て工兵隊が退去するまで、時間稼がなくちゃ、私の可愛い工兵ちゃんたちを死なせたくないからねっ」


姫様が「あ~ん」と口を大きく開けたので、シルスは苺大福を姫様の口の中に詰め込んだ。姫様は、嬉しそうに頬張った。


生きるか死ぬかの戦場で、こんなに陽気で良いの?

シルスの想いに答えるかのように、姫様は一瞬微笑むと、真剣に敵前を見据えた。


神将級燎が、刀の穂先を敵兵に向けると、敵兵全員がびくっとした。


「キャハ、必殺、見かけ倒し!」

「言うてる場合か!」




つづく  タッッタッタッタッタッタタタタタタタ!( ^^)ノノ

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