15話 妖精は地底にありて、我を誘う。

「これ着ける?ニューギニア戦線の生き残りの、曾おじいちゃんの形見だから、きっとご利益があると思うよ」


思惟裸裸は、大切そうにコテカを外すと、シルスに差し出した。


死んでも帰れぬニューギニア戦線。

そこから帰れたからには、ご利益はありそうだけど・・・

女子が着けるには、勇気がいる。


しかし、思惟裸裸の、思いやりに満ちた視線を受けると、断りずらい・・・


「ありがとう」

「じゃあ着けてあげるね」

思惟裸裸と汎都・舞夢が、シルスのパンツを脱がせようとした。


「パンツはやめて!」

「正式な仕様じゃないと効果は薄いよ」

「大丈夫です」

「ここには女子しかいないから、大丈夫だって」

「違います!パンツの上からお願いします」


思惟裸裸は、不満げだか、丁寧にシルスの腰にコテカを着けてくれた。

記録者としてのシルスは、この姿を撮るべきか迷ったが、この【12人の思惟事件】の記録者としての使命感から、騰子さんに頼んでが、コテカを着けられてる姿を撮ってもらった。


自分で頼んで起きながら、めっちゃ照れた。

コテカを着けてもらって、シルスは改めて、石の箱の前に立った。


石の箱の、静かで威圧的な雰囲気は、死しかイメージさせなかった。

一度入ったら、もう生きて出れないかもしれない。


わたし、幽体離脱なんてしたくないし!

なんで、こんなことになったんだろう?


そうだ、この子たちが、勝手にエレベーターのドアを開けて、乗り込んで、そんで、この子たちが「式神に乗りたい」とか言い出して、なんやかんやで、今に至る。


なんで着いて来ちゃったんだろう?

この子たちのせいじゃん!


いや、後半の方は、この姫様の側近の会璃(あいり)さんが、そう言う風に誘導したのかも知れない。





つづく

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