14話 石の箱と忠臣シルス

会璃(あいり)は、思惟裸裸の股のコテカを、じっと見ていた。


清楚で上品な顔立ちの会璃が、凝視するものとしては、かなりエロチックなのだが、でも、それだけ、地下の妖精たちにとって、それは重要な物なのかも知れない。


・・・わたしたちにとっても、重要な取引材料だ・・・

シルスはそう思考した。



「あの~これ着けたままで、大丈夫ですか?

曾じいちゃんの大切な物なので、着けていたいんですが。」


思惟裸裸は聞いた。


会璃の目が、鋭利な刃物のように光った。

姫様の有能な側近の目だ。

地方の田舎町では、絶対に見ることがない目だ。


「外しちゃダメ!」シルスは思ったが、口に出すことは出来なかった。


「着けたままで大丈夫ですよ」

と会璃さんは優しい口調で答えた。


無理に、奪う気はないようだ。


「は~い」


思惟裸裸が、コテカを着けたまま棺桶のような石の箱に入ると、まるで王墓に眠る古代の王の様な威厳が感じられた。


騰子さんが、重そうな石の蓋をゆっくりと閉め始めると、シルスは、埋葬される偉大な王を、見送る忠臣の様な気分になった。


・・・王よ。偉大なる王よ。

貴方の英雄的行為によって、民に大いなる安らぎが訪れました。

偉大なる王よ!安らかにお眠りください・・・


と呟きたくなったくらいだ。

シルスは、じっと思惟裸裸の顔を見つめた。


・・・もしかしたら、最後かも・・・なんて思ったから・・・


閉まる瞬間、思惟裸裸は、見たことがないくらい真剣な目をしていた。

石の蓋はかなり重そうで、中からは重くて、動かせそうもない。


その石を動かせる騰子さんの腕力は、半端ない。

一見、影のある繊細な女人に見えるが、やはり式神なのだろう。


石の蓋が閉まると、石室内は静まり返った。


何が起こるんだろう?と、3人の思惟たちは、石の棺桶を見つめた。


「・・・」


数分くらい、静寂は続いた・・・


「失敗ですね」

会璃は、静かに言った。


・・・・偉大なる王よ、失敗かよ。がっかりだよ・・・・

忠臣シルスは、心の中で呟いた。


騰子さんは、重い蓋をあけた。


「何?何?何か起こった?」

満面の笑顔で、思惟裸裸は飛び上がった。


「思惟裸裸ちゃん、失敗だったみたい・・・」

汎都 or 舞夢は言った。


「えーマジですか~何がいけなかったんですか?」

「我々の技術不足と、あと・・・思惟様の素質でしょうか。

申し訳ありません。」


会璃は、答えると、

「さて・・・次は・・・」そんな目線で、

思惟たちを見つめた。特にシルスを・・


・・・だよね。

思惟裸裸と汎都舞夢は、ジャンルは似たようなキャラだし、だとすると、そうくるよね。


・・って、言うか、これ、明らかに棺桶だろう!

高級感は、王様級ではあるけど!

でも、生きているのに、まだ生きてるのに、棺桶になんか入りたくない。

それもこんな地底の世界で!


シルスの心の中の呟きが、聞こえる訳もない会璃は、シルスに可愛く微笑んだ。

いや、例え聞こえても、その可愛い微笑みの種類は、変わらなかったに違いない。


強い圧迫感のあるその微笑みに、シルスはビビった。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)






思惟たちヽ(*'0'*)ツ


思惟オリジナル(15)  旅館の女将修行中


【チーム・北の島】

α・・・ちょっとアホっぽい。弄られ少女。

β・・・ 賢者な少女。

璃琥(りく)・・・高跳び少女。美少女戦士。

思惟・女将・・・大人びた少女。


【チーム・南の島】

シルス・ ・・ デジカメ少女。日記を記す。

思惟裸裸(しいらら)・・・ コテカを装着した裸族の少女。

汎都(パント)・・・ シルスと裸族が大好きな少女。

舞夢(マイム)・ ・・キャラはパンちゃんと同じ。


【チーム・西の島】

ちーず・・・兄の狼図を嫁にしたい少女。

φ・・・ 初恋の少年を忘れられない。人形使い。

Ψ・・・ 惣菜買い出し担当。お金の管理を担当。

Ω・・・地下での記憶を持つ。全思惟の記憶を知る。

ν ・・・?

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