2話 美少女戦士超思惟合体!

思惟女将は、継母の代わりに、フロントでお仕事中だ。


その愛想の良さは、ものすごく評判が良く、封鎖事件で暗い雰囲気の街にとって

それは癒しの明るいニュースだった。


ただ封鎖事件後、厳しい旅館経営的には良いのだが、あまり思惟の評判を上げ過ぎると、思惟女将以外の思惟が、女将をやるときに、ちょっとツラい。


思惟女将が、着物を着ていそいそと歩く姿は美しく、日本旅館の風景に馴染んだ。

しかし、他の思惟が、それをやると、どこかぎこちなかった。


「天職ってあるよね」

「そうだね」


女将の間の居間では、チーム・北の島のαとβが、2人並んで、抹茶と羊羹を食べながら今後の思索をしていた。


別に並ばなくても良いのに、つい並んでしまう。

気を使う必要もないし、自分の匂いがして、なんか落ち着くのだ。


同時に羊羹を口に運び、同時にお茶を口に運ぶ。

さすが同じ思惟!とはもう驚く事も無くなった。

しかし油断してると、まったく同じ行動をとってしまう。


もしかしたら、このまま1人の思惟に、戻るんじゃないかと期待してしまう。


「羊羹、美味しいね」

「そうだね」

思惟女将が、「おやつに♪」と、女将修行で忙しいのに、わざわざ持って来てくれた、羊羹だ。


「良い娘だね」

「ホントだよ」


思惟αと思惟βの目の前では、美少女戦隊ブラと美少女戦隊パンツを着た璃琥(りく)が、兄・狼図(ろうず)のヌンチャクをしていた。


美少女戦隊下着セット。

ネットで勢いで買ったけど、一度も着てない奴だ。完全に黒歴史な奴だ。

自分でもなんで買ったのか不思議だったけど、心の中の璃琥が買わせたのかもしれない。


「わたしたち、ヌンチャクなんて出来たっけ?」

「やった事すらないような」


璃琥は、上手い事ヌンチャクを回した。


「やれば出来る子だったんだね。わたしたち」

「璃琥ちゃん見てると、自信が着くよね」


思惟αと思惟βは、抹茶を飲み干すと、

「しかし妖精、捕まらないね」

2人は同時に言った。


旧館に設置した妖精捕獲器には、何も入っていなかった。


テーブルに置かれた妖精捕獲器内には、可愛らしいミニチュアの家具が並べられ、妖精じゃなくても、入ってみたい気分にさせた。


「良く出来てるのにね」

「うん」


チーム・南の島の思惟たちは、浴衣の帯だけ残して失踪。

妖精は捕まる気配はない。


「行き詰りだね」

「そうだね」


そんなαとβに、璃琥は目を輝かせながら言った。


「合体してみようか?そしたら、1人の思惟に戻れるかも」

「えーエッチな意味でじゃないよね」

「ほら狼図が昔、合体ロボ持ってたじゃん、あれみたいに合体したら、何か起こるんじゃない?」


賢そうな思惟βの意見を、思惟αと璃琥は待った。


「・・・うん・・・そうね」


璃琥がものすごく期待した目で、賢者な思惟βをみるもんだからついβは、

「そうね、訳も解らず、12人に増えたんだから、訳も分からず、1人に戻るかも知れないね」

と答えてしまった。


「おお!じゃあ、早速やってみようぜ!じゃあ僕が真ん中ね。

2人は僕の足を持って」


璃琥に言われるまま、3人の思惟は、組体操の3人サボテンをした。


「違う!それじゃ普通の運動会じゃん!

2人は僕の太ももに愛おしく頬ずりをしなくちゃだめだよ!

愛おしい思惟の太ももに頬ずりをして!」


「えー」

と言いながらも思惟αと思惟βは、璃琥の太ももに頬をよせた。

柔らかな太ももは、安心する自分の匂いがした。


「それじゃ行くよ、美少女戦士超思惟合体!・・・って、2人も言わないと!」


璃琥の指示で3人の思惟は、そろって

「美少女戦士超思惟合体!」

と言ったが・・・璃琥は、

「違う!まだ照れがある。そんな事じゃいつまでたっても、

美少女戦士だった頃の思惟には戻れないよ!」

「美少女戦士だったんだわたし?」

「美少女戦士として育てられた少女、それが僕たち思惟!

ツラい戦いの日々を思い出したくないのは解るけど!

今は、美少女戦士だったあの頃を思い出して!」


璃琥が、ノリノリなので、αとβはそのノリに合わせることにした。


「それじゃあ、美少女戦士超思惟合体!で行くよ」

「は~い」

「じゃあせーので行くね。せーの!」

「美少女戦士超思惟合体!×3」


3人の思惟の気持ちと、言葉が重なった瞬間!

女将の間の扉が開き、チーム・西の島のちーずが入ってきた。

そして、もの凄く美少女戦隊風にカッコつけている3人を眺めた。


「何してるの?」

「・・・・」×3

「美少女戦士超思惟合体?」

「うん・・・まあ・・・女将修行中の子には言わないでね。

あの子は1人で頑張ってるから・・・」

思惟βは、璃琥の足に頬を着けたまま言った。


「努力はする」



3人の思惟の気持ちと、言葉が重なった瞬間、オリジナル思惟になった気がした。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)


思惟たちヽ(*'0'*)ツ


思惟オリジナル(15)  旅館の女将修行中


【チーム・北の島】

α・・・ちょっとアホっぽい。弄られ少女。

β・・・ 賢者な少女。

璃琥(りく)・・・高跳び少女。美少女戦士。

思惟・女将・・・大人びた少女。


【チーム・南の島】

シルス・ ・・ デジカメ少女。日記を記す。

裸族・・・ コテカを装着した少女。

パンちゃん・・・ シルスと裸族が大好きな少女。

マイちゃん・ ・・キャラはパンちゃんと同じ。


【チーム・西の島】

ちーず・・・兄の狼図を嫁にしたい少女。

φ・・・ 初恋の少年を忘れられない。人形使い。

Ψ・・・ 惣菜買い出し担当。お金の管理を担当。

ν ・・・?

〇・・・?


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