6話 続く放置、迫る黒髪!

静かになった女将の間に、古い船底が軋んでいる様な声が聞こえた。


「・・・もう、終わりに・・・して」


妖精の姫さまの透き通る様な声でもなく、バスタオルを巻いた少女の静かに囁く声でもない、重く怨念のこもった声。


放置プレイ中の思惟の背中に嫌な汗が流れた。


強烈な気配を感じた思惟は、内湯の方に振り返った。


そこには、濡れた長い黒髪の女が、瞳孔が開いているのではないかと思うほど目を見開いき、思惟を恨みがましく睨んでいた。


「霊だ・・・・黒髪の女の幽霊だ。

この旅館に恨みを持って死んだ女の霊だ」


思惟は、今しがた仲良くなったような仲良くなってないような姫さまと、バスタオルを巻いた少女に助けを求めるように視線を送った。


しかし姫さまとバスタオルを巻いただけの少女は、距離を置いたまま放置プレイを解くことは無く、静止画の様に静止していた。


「ひどい・・・」


と思いつつも、思惟のドМな心はときめいた。


その間も、長い黒髪の女はホラー映画の様に、目を見開いたまま思惟にスーーーと近づいてくる。


「足・・足」思惟は、女の足を確認したが、長い浴衣の性で足は見えなかった。


怨念を持った幽霊と思われる黒髪の女に対する恐怖心と、「私、何されるんだろう?」と思うドМな心のときめきが、思惟の心の中で葛藤した。


私、こんなに変態だったけ? (泣)




つづく

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