15話 良く出来た武者ロボットだね

エレベーターの小部屋には、どこに行っているかを示す表示らしきものは、何も見当たらなかった。


多分、地下に向かっているのだろう。


徐々に温泉の硫黄の匂いがしてきたし・・・


武者のコックピットの密室に居ても、匂いがするって、隙間があるのかな?


と思惟が思っていると、


「頭部の聴覚や嗅覚が感じたことは、コックピット内でも同様に感じる事が出来るの。もちろん遮断することも可能だけど」


と姫さまが説明した。


「・・・良く出来た武者ロボットだね」

「これは・・・・ロボットではないわ」

「ん?」

「これは、あたしの身体。

あたしたちは今、あたしの体内にいると言っても、過言ではないの」

「姫さまの体内?」

「思惟が見ているあたしが魂なら、この機体は魄(はく)と言われる者に近いわね」

「はく?」

「地上で生きてる人が纏(まと)っている肉体の事」

「纏う・・・」


肉体を纏う・・・・

そう言う捉え方をしたことはなかったけど・・・


今の思惟に、現状を把握する余裕はなかった。


でも、姫さまの体内は、すごく心地良かった。




つづく

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