16話 地底深くにある妖精の王国・・・・

地底深くにある妖精の王国・・・・


なのか、エレベーターはなかなか着かない。


「うちの旅館が首都だって言ってたけど、こんなに深く降りると、そんな感じじゃなくなってくるような・・・」


思惟に背を向け、操縦桿を握っている姫さまに聞いた。


「あたしたちが向かっているのは、神将級専用格納庫。

神々の攻撃にも耐えられるように、最深部にあるの」


「神々の攻撃って!」


姫さまの物騒な話に、思惟はビビった。


「あくまで可能性の話よ」

「そんな攻撃されたら、旅館だけじゃなく、街は全滅しちゃうよ」

「安心して・・・・」


姫さまは振り向くと、思惟を見つめた。

その可愛い表情に、思惟はにやけそうになったが堪えた。


「あたしたちは、あなたたちを守るために存在しているの・・・

あたしたちは、昔のあなたたちが神と崇めた存在」

「神?」

「そう・・天地を想像し、人類を想像した、全知全能の神・・・」

「マジですか!」

「マジ・・・・・では、ないね」

「えっ?」

「あなたたちの先祖が、神の仕業や神に違いねえ~って言うから、あたしたち神なんかな?って思われてるけど、実際は、神じゃないね」

「神じゃないんかい!」

「まあね、でも、祀られていたのは事実。ほら旅館の庭に小さな祠があるでしょう。

あれ、あたしたちを祀ってんの」

「マジですか」

「マジですよ」


でも、そういう昔話は、おばあちゃんに聞いたことがある。


「あっ!」


そうだ・・・忘れてた。

あの祠は、お供え物が消える祠って言われてて、おばあちゃんから、お供え物のリストを渡されていた事を・・・


「必ずお供え物は忘れないでね」


と厳命されていたことも・・・

そんな迷信・・・・と思って、おばあちゃんが死んでから、お供え物はしていないはず。

所謂それは、ただのお供え物ではなく・・・・

私たちにとっては小さなものでも、この妖精たちにとってはかなりの物資になるはず・・・


「なんか・・・すいません」


思惟は謝った。



つづく

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