7話 優しい哀れみ

武器庫には、式神用の刀やマシンガンが揃っていた。


どれも武骨な雰囲気を醸し出していた。

歴女のシルスは発情しそうなほど、興奮した。


腰にその武骨な刀を装備すると、身体から力が湧き上がってくるような気がした。

鞘から刀を抜き、構えてみた。


ふっ・・・シルスはにやけた。


「あの・・・お喜びのところあれなんですが、起動型式神は最弱ですぜ!

幼女並みの攻撃力です」


碧依は、シルスの式神の頭を撫でながら言った。


「幼女並み?」


そう言えば、姫様の式神もびっくりするほど弱かった。


「起動型は、重厚な装甲に守られている。それだけが取り柄。

撃てば外し、振っても外す。そらはまるで壊れた玩具の如し。

俺なんか姫様に背後からの誤射で死にかけたわ」


碧依の言葉に、はなもりは笑って、


「それは、きっと姫様わざとだよ。

碧依くん、姫様から嫌われてるんじゃないですか。

メカニックの間ではみんな言ってるよ」


はなもりに言われて、碧依は慌てた。


「そんなはずは、だってほら・・」


「だってほらって、何?」


「えええええ!

だってほら、俺は姫様の分身みたいなもんだぜ!

分身を嫌うか?」


「分身だから、逆に憎悪が増すんじゃないかな。

自分の嫌な部分が具現化されてのをいつも見せられているみたいで」


「俺は、寵愛を受けてるっつうの!!!!」


「碧依くんって、いつも翡翠の仮面付けてるじゃん。

秘密主義と言うか、人と打ち解けない感じが、姫様に嫌われてるんじゃない。

姫様にもそう言う所があるだけに・・・」


「それは・・・うん」


「仮面取ってみたら?」


碧依は、エメラルドグリーンの翡翠の仮面の奥で何かを想った。

そして、


「それは無理。それだと会話も出来ないし」


「それはかなり・・・あれだね」


はなもりは哀れんだ。


それは優しい哀れみだったが逆に、碧依は落ち込んだ。


その落ち込みが半端なさそうなので、シルスは話題を変えようと


「ところで、12神将って分身なんですか?」


「そうです。私たちはこれから、かっかの分身が宿る入れ物を探しに行くのです」


落ち込みが半端ない碧依の代わりに、はなもりが答えた。




つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございまする\(^▽^)/



シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。 

はなもり・・思惟専用式神のメカニック。


美少女な式神・シルスの接続式神


碧依・・・意都の式神

意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。貧乏貴族出身。



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