6章 荒野へ

1話 自分専用式神探しの旅

巨大なエレベータのドアが開いた。

巨大なエレベーターに見えたのは、シルスが妖精サイズだったからだが。


碧衣と、そのポケットに入ったはなもりと、シルスの操るの接続式神は、そのエレベータに乗り込んだ。


シルスの接続式神は、まだ歩くのもままならない状態ではあるが、なんとかエレベーターに乗る事が出来た。


重厚なドアが閉まるとエレベーターは下に向かった。

この妖精の王国自体が、地下世界なのにも関わらず、さらに地下へ向かうらしい。


エレベータが制止した感覚の後、エレベーターのドアが開いた。


建物らしきものは見当たらず、ただ荒野が広がっていた。

エレベーターの両隣には、多分式神と思われる機体が、エレベーターのドア周辺を警戒していた。


シルスたちが到着しても、身動きもしなかった。

殺風景な荒野には、相応しい態度だが、

「一言あっても良いんじゃない?」

旅館の娘のシルスは思った。


エレベーターのドアを出て振り返ると、石で出来た古代神殿の様な建物だった。

上を見上げると青い空があった。かなり地下のはずなのに。


その神殿の側に、2頭の馬が紐で繋がれていた。

「あれに乗るんだよ」

碧依はそう言うと、馬に駆け寄った。


「えっやっと歩けるようになったばかりなのに、馬に乗るの?」

シルスの問いに、

「大丈夫だよ、そっちの馬は優しいから」

「いやいやいやいや・・・」


その優しい馬に乗ろうとして1時間経過した。

すると沈黙を守っていた、門番の式神が近づいて来て、無言のまま手伝ってくれた。


「やっと乗れた・・・ありがとうございます」

シルスの言葉に、門番たちは無言のまま微かに手を上げて、再び元の位置の戻って行った。悪い人達ではないみたいだ。


「後は、手綱を握ってるだけでいいから」

碧依は言った。


シルスの接続式神は、しっかりと手綱を握った。

そして馬は歩き出した。

確かに歩き方に優しさを感じた。



つづく




シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。 

はなもり・・思惟専用式神のメカニック。


美少女な式神・シルスの接続式神

碧依・・・意都の式神


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る