4話 私が王家の秘宝?

思惟しいが妖精に手を伸ばすと

「ちょっと!あなた!」

背中に殺気を感じた。


そうだった・・・今の状況・・・・

さっき刀を着きつけられたばっかりだったのに・・・

私・・馬鹿?


刀が風を斬って降り降ろされる気配がした。


死ぬ?


と覚悟を決めた瞬間、目の前の可愛らしい妖精が


会璃あいり止めて!そいつは王家の秘宝の一部よ!」


恐怖に怯えていた妖精は、一瞬で冷静さを取り戻し凛とした声で叫んだ。


首元に、冷たいものが当たったような、当たってないような・・・・

後で刀を鞘に納める音がした。


ふう・・・ 


全身に嫌な汗がたらたらと流れた。


「ごめんなさい・・・あまりにも可愛かったから・・・」


その謝罪に気を良くした妖精は、体をくねくね揺らして


「まあいいわ・・・・で、あなたは何者?」


と。


ふう・・・


思惟は、深呼吸をして現状を正確に理解しようとした。


目の前に、3センチぐらいの可愛らしい妖精。


その妖精は、旅館に飾ってあった黄金の甲冑武者から出てきた。

そして背後では、刀を鞘に納めた美少女。


私が王家の秘宝の一部?


う~ん・・・解らん


とりあえず・・・うん、問われた質問に答えよう。


「えーと、私は思惟しいです。この部屋の住人です。」


自分の部屋で自己紹介するとは思わなかった。


「この部屋の住人?80の老婆には見えないけど・・・」


姫様の問いに、バスタオルを巻きなおしながら少女が答えた。


「化粧等で、若作りしているのでは?

地上の特殊メイク技術はほとんど妖術ですから」


とボケた?いや本気かもしれない。


姫様に、じぃーーーーと透き通った純粋な目で見つめられた。


「老婆かも、そう言われて見れば・・・・着物着て寝てたし」


ショックです。お兄ちゃん!

可愛らしい妖精の姫様に言われると、カナリ凹む。


お祖母ちゃん子だったせいで、年よりくさいとこはあったけど・・・


漬物は好きだし、お団子は好きだし、歴女だし、

学校でのあだ名は、ばーやだし、

20歳くらいとは言われたことはあるけど、80って!


「私は15歳です、着物はこの旅館の制服だから着てただけです」


妖精の姫様と、旅館のバスタオルを巻いただけの少女は疑いの目をした。


「私は孫の思惟しいです」

「孫のC?」

「はい孫の思惟しいです。

おばあちゃんはこの前亡くなって・・・その後、私がこの部屋に」


黄金の甲冑武者の手のひらに乗った妖精の姫様は、思惟しいの頬を指先で触った。


「・・・・・すべすべ・・・・うん、まあ認定」

姫様に認定を貰った。15歳だから当然だけど、やっぱ嬉しい。


「肌質に、会璃ほどの色気は無いけど・・」


姫様は備考欄的に付け加えた。かなり凹む。



つづく

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