9話 有翼甲冑と灰色の世界

すでに街の上空には、青と黒と銀色の有翼甲冑を装着した神将級式神の三鬼が、姫様の到着を待っていた。


青色の武者が、シルスに優しく微笑みかけた。

シルスは、心がちょっと優しくなった気がした。


もしかして、あの式神、さっき食べた、みたらし団子のむつみさん?

そのほほ笑みは、同じ感触を感じた。


姫様の操る、黄金の神将級燎(かがりび)は、三鬼の式神を従え上昇し、そのまま琥珀色した結界へと突っ込んだ。


柔らかな粘土にぶつかった様な衝撃がした。

そして、コックピット内の空気が琥珀色に変わった。


その三秒間の間に、琥珀色に照らされた姫様が嬉しそうに、シルスの顔を見つめた。


「ん?」

「ん?」


別に会話を交わす間もなく、空気が澄み結界の外の世界に出た。

たった三秒だったが、長い時間を過ごしたような不思議な感覚がした。


「久しぶりの結界の外・・えっ?」


街は深い森にかもまれていた。

はずなのに・・・そこには、灰色の世界が広がっていた。


「もしかして・・・」


森がこの状態だって事は・・・・隣街は・・・・

シルスは呆然とした。


琥珀色のドームの様な結界の側面では、何かが蠢いていた。


十九世紀の兵隊の様な制服を着た何かの生き物が。


・・・なんだろう・・この感触は、どこかで感じた事がある・・・


人型・・・ヒューマノイドでは在るのだが、人とは違う何か、


そして、その何かによって、カーフェリーくらいの大きさの緑色の箱が、琥珀色の結界の壁に押しつけられていた。


神将級式神四鬼の出現に、十九世紀の兵隊の格好をした何かは、慌てて銃撃を加え始めた。


式神のむつみさんは、素早く神将級燎(かがりび)の前に立ち、盾になり銀色の式神は衝撃波を放った。


闇夜に「バーン」とソニックブームが発生した。


衝撃波に驚いた十九世紀の兵隊に対して、黒い式神はそれはそれは楽しそうに、上空からガトリング砲をぶっ放し始めた。


「我に逆らう者は、みんな○ね○ね○ね!虫けらどもめ!

虫けらを殺すのは楽しいぜい!そう思わないか思惟さま」


「あっはい・・・」

シルスは一応返事したが【黒い式神さんは危険な式神】と記憶した。


「あの緑の箱は・・」

シルスの耳元で、姫様の澄んだ声が聞こえた。



つづく (・∀・) 



いつも読んで頂き、ありがとございまする(≧∀≦)♪


シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。  

意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。


神将級式神・・・姫様の旗下の式神。

青い甲冑を着た式神・・・むつみさん。

黒い甲冑を着た式神・・・危険な式神。

銀色の甲冑を着た式神・・・防御系の式神。

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