5話 翡翠の式神と地中貫通弾

ズシーン、と地下世界が揺れた。


「爆発?」


緩やかな表情だったはなもりから、その表情が消えた。


美少女な式神の足元で、小さな妖精のはなもりは、格納庫の天井を見上げた。


入り口にいた翡翠の式神は、足に付けられた重そうな鉄球を引きずりながら、駆け寄って来た。


妖精のはなもりに取って、巨人の様な存在の翡翠の仮面を付けた式神は、

はなもりに寄り、膝を着き、いつでもはなもりを守れる体勢に入った。


そして、何かの同意を求めるように、美少女な式神に視線を送った。

翡翠の仮面の奥の目は、どこか姫様の目と似ていた。


美少女な式神のコックピット内にいるシルスには、それが何の同意なのかは、解らなかった。


さらに翡翠の式神の足に付けられた重そうな鉄球。

この式神は奴隷?


・・・この地下世界の事は、何も解らない・・・


静まり返った広い格納庫で、シルスは、モニターの管制官の言葉を待った。


管制官の少女の目は、激しく動揺していたが、じっと情報が入るのを待っていた。


そして、

「地中貫通弾着弾」

と告げた。


「地中貫通弾・・・」


翡翠の仮面の式神の呟きが、格納庫に響いた。


「おい、ちっちゃいの、とりあえず・・・こっちに」


翡翠の仮面の式神は、はなもりを手の平に乗せると、胸のポケットに容れた。


「大丈夫。ここの地下世界は、そんなに脆くない・・・はず」


翡翠の式神は、どこか遠くの誰かと意思を通じているような目をして


「えっ!俺が!」


翡翠の式神は、意識をここに戻すと、美少女な式神を見つめた。


そして、

「姫様の命令を伝える」


命令?多分この神将級式神は、姫様と繋がっているらしい。


「思惟ちゃんと、はなもりは、俺とともに、12神将をすぐに揃えるようにとの事」


「えっ私も?私だたのメカニック見習いだよ」


はなもりが翡翠の式神の胸ポケットで驚いた。


「状況は切迫している。それに、式神だけでは、色々面倒だろ。」


翡翠の式神は、シルスの乗る美少女な式神を直視した。


「思惟少将閣下宜しいですか」


式神の装甲に守られ、まるで傍観者の様に、その様子を見ていたシルスは、急に現実に引き戻され、そして、当事者として自覚した。


12神将を揃えるって何?


解らない事だらけだが、緊迫した雰囲気に押されて

「宜しいです」

と返事をしてしまった。


翡翠の式神は、美少女な式神の手を取ると、お礼のキスをした。

自分の手ではないけど、めっちゃ照れた。



つづく



やっと更新出来ましたヾ(〃^∇^)ノわぁい♪


シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。 

はなもり・・思惟専用式神のメカニック。


碧依・・・意都の式神

意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。貧乏貴族出身。



いつも読んで頂き、ありがとうございまする\(^▽^)/




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