4話 可愛い式神と恋する式神
コックピット内に設置してあるモニターに、管制官らしい少女が映った。
地上の感覚で言うと中学生ぐらいだろう。
「姫さまの防衛線が突破されて、敵が侵入したときは、お願いします。」
「えっ!」
つい声が出てしまった。
そんな心の準備など出来ていなかった。
もう一つのモニターには、結界の外の様子が映し出されていた。
小さな妖精の工兵隊の少年たちが、陣地を急いで構築していた。
直接戦闘する事は無いにせよ、生身の身体を最前線で晒している姿は、かなり心許なかった。
「あっでも・・・まず姫様の防衛線が、突破されることはないので、ご安心下さい」
管制官の少女は言った。
でも・・敵は、この地下世界に侵入する前に、地上の街に侵入するはずだ。
「私の街に・・・」
シルスは、コックピット内で姫様の健闘を祈った。
だって、私はまだ歩くことすらままならないのだ。
式神の甲冑の装着が完了した。
ただ着ているだけではなく、ボトルで止められてるせいで、束縛感は、半端ない。
しかし、甲冑を付けた時の安心感は、これも半端ない!
通常兵器では破壊できない装甲だけの事はある。
実質、最強の装甲と言っていい!
「かっか~、あちらの武器庫まで歩けます?」
戦闘準備中にも関わらず、緩やかな口調のはなもりの声が響いた。
逆に冷静さを取り戻させてくれる、ちょうど良い口調だ。
シルスは、色々な雑念を取り除いて、「武器庫に行く」と念じ、操縦桿を握った。
意思を通じ合わせる事のない自転車なら、もっと簡単に行けるのだが・・・
なんなのかも解らない式神と、意思を通じ合わせるのは、かなりややこしい・・・
「式神と意思が通じる」
呟いてみた。
自分の意思と式神・貴人型の意思が、繋がる感触が、
したようなしていないような・・・でも、
「動かない・・・」
まだスプーン曲げの方が、上手く行くんじゃないかと思うほど動かない。
「本当に動くの?」
格納庫の奥のドアが開き、翡翠の仮面を付けた鬼・・・たぶん式神が、こちらの様子を伺っていた。
「
「俺・・今、体を休める事が仕事の非番中だぜ」
「ですが・・・」
「ここに可愛い式神がいると、聞いたのだが・・・」
翡翠の仮面を付けた鬼は、
シルスの乗る式神を凝視した。
完全に恋する少年の目だ。
気のせいかも知れないが、シルスの乗る式神が動揺していた。
つづく
シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。
はなもり・・思惟専用式神のメカニック。
碧依・・・意都の式神
意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。貧乏貴族出身。
いつも読んで頂き、ありがとうございまする\(^▽^)/
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