5章 美少女な式神

1話 ・・・あそこに行こう・・・

多分、私と式神・貴人との関係性は、意識と無意識。


自分が歩くとき、膝を曲げろとか、肘を伸ばせとか、

意識することはない。多分、それと同じ事なのだろう。


「足を曲げる」ではなく「あそこに行こう」

なのだろう。


「かっか~、あちらの倉庫に、式神・貴人用の服があります。

取りに行ってみます?」


式神の足元で、小さな妖精のはなもりは言った。

はなもりの指し示す方向には、クローゼットの様の施設があった。


「うん、行ってみる」


深呼吸をした後、

・・・・あそこの行こう・・・・

心の中で念じてみた。


「・・・」


美少女な式神が、何かを思った様な気配がした。


再び、

・・・あそこに行こう・・・

と念じた。


「・・・」


美少女な式神が、何かを思った気配がした。


「・・・・動けや!」


シルスは焦れった。


「かっか~、休憩を入れましょ♪」


足元で、はなもりが言った。


ふうー


シルスはため息を着いた後、


「でもどうやってここから出るの?」

「入ったときと同じように、にゅーと・・・」

「にゅーと・・・」


入ってきた辺りを、にゅーと触ってみた。


「出れない」

「えー!」


小さな妖精のはなもりの、驚く声が格納庫に響いた。

その驚きから、かなりヤバいような気がした。



つづく




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