14話 王国の伝承って・・・

傷ついた神将級式神 かがりびは、収容され妖精の地下王国へと、降下した。


温かいお湯の張ったコックピット内で、姫様はシルスに抱き着いた。

姫様の小さいけど柔らかな胸の膨らみを感じた。


姫様は「きっとこの子は、本当に優しい子なんだろう」と思える、

優しい香りがした。


「この戦いはね、生存競争なの。

この星はいずれ氷河期を迎えて、資源は激変する。

この星はもうすぐこの星の生命体を養えなくなる。

だから口減らしの戦い。もしこの戦いに負けると、

あたしたちもあなたたちも、口減らしにみんな殺される」


姫様は、透き通るような声で、残酷な事を言った。


「でももう、あたしたちに攻勢に打って出る戦力はないの。

ただ防戦のみがあたしたちの生き残る手段。

攻める方は、攻める時間を選べるけど、

守る側は24時間体制で待ち構えていなくちゃいけない。

神将級式神は、全部で十二鬼いて、3交代制で迎え撃つことは出来るけど、

その場に貴人タイプの燎がいないと、戦力として役に立たない」


「要するに姫様は、24時間体制で待機を?」


「そう・・・もうあたし限界」


姫様の声に、表面上疲労感は感じなかったが、それが逆に深刻さを物語っていた。


「眠っていても、夢の中で敵と戦い続けているの。

みんなには言ってないけど、今すぐにでも、心が壊れそう・・・

王国の伝承によれば、女将の資格がある者なら、

神将級貴人タイプを操れるらしい。

その女将たる思惟ちゃんなら、きっと操れると思うの」


女将と言っても、正確には旅館の女将(おかみ)なんだけど、

どこでどう間違えたのか、きっとその王国の伝承は、

大きな勘違いをしているんじゃない?

伝承って、多かれ少なかれ、そう言うのありそうだし・・・


とシルスは心の底から思った。でも、


「ねえ思惟ちゃん、あたしに安らかな睡眠をちょうだい」

と言われた以上、そんな事は言えなず、

「眠り」

と呟く事しか出来なかった。



つづく 



いつも読んで頂き、ありがとございまする(≧∀≦)♪




シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。  

意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。


神将級式神・・・姫様の旗下の式神。

黄金の甲冑を着た燎(かがりび)姫様の乗る大将機。


青い甲冑を着た式神・・・むつみさん。

黒い甲冑を着た式神・・・危険な式神。

銀色の甲冑を着た式神・・・防御系の式神。


姫様のお気に入りの少年・・・姫様専属の通信士。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る