13話 火薬の匂いの中で・・・

神将級燎の胸部ハッチが開くと、火薬の匂いと焦げた匂いがした。

姫様に誘われて、シルスはコックピットから出た。


結界の外側は、空気が滞った内側と違い、強い風が吹いていた。


結界の外側は山火事の跡ような光景が広がり、街のある方角には、琥珀色の壁が高層ビルのように聳えていた。

街を守っているこの結界は、ドーム球場の様に、街を覆っていた。


その琥珀色の結界に、緑色のカーフェリーの様な箱が突き刺さっている。


すでにあちこちから、妖精の工兵隊が出てきて、その緑色の箱の解体作業を開始していた。


神将級・燎は、式神のむつみと伴に、その緑色の箱の中に入った。

緑色の箱の向こうには、琥珀色の結界に遮られることもなく、見慣れた街が見えた。


「このトンネルで結界を無効に出来るわけね」


人間サイズの式神むつみが答えた。

妖精サイズのシルスから、見るとかなり大きい。


「困りましたね」

「困りましたね」


姫様が言うと、むつみも言葉を重ねた。


「でも、今回幾つかの成果があるとすれば、生きたまま敵を捕らえることが出来たって事ですかね」


もち肌なむつみが説明すると、フェリー箱から、銀色の有翼武者が、捕らえた生きたままの敵兵を連れてきた。


生きた敵兵は、2本の足と2本の腕があり、ヒューマノイドなのだが、顔は蟻だった。


「何者かが、蟻の遺伝子を弄って人工的に作り出した者なのか、もしくは蟻が急激に進化した者なのか」


もち肌なむつみは真剣に説明を続けた。


なのに、

「蟻さんって、こんな顔してたんだね」

と姫様は子供の様に感心した。



つづく 


いつも読んで頂き、ありがとございまする(≧∀≦)♪



シルス・・・12人の思惟の1人。思惟の中では地味な方。  

意都・・・妖精のお姫様。王位継承順位500位だった。


神将級式神・・・姫様の旗下の式神。

黄金の甲冑を着た燎(かがりび)姫様の乗る大将機。


青い甲冑を着た式神・・・むつみさん。

黒い甲冑を着た式神・・・危険な式神。

銀色の甲冑を着た式神・・・防御系の式神。


姫様のお気に入りの少年・・・姫様専属の通信士。



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