13話 3人の思惟ちゃんとおしくらまんじゅう



昨日の夜の出来事。


【チーム・南の島】は、妖精の住む地下へと通じてるかも知れない物置部屋にいた。


もしかしたら現れるかも知れない妖精を、捕まえるためだ。

旧館の各所には、鼠捕獲装置を改造した妖精捕獲装置を設置した。


地上の人間より知能が高いであろう妖精が、引っかかるとは思えない。

でも、やれることはやって置きたかった。


シルスの前では、股にコテカを着けたままの裸族の思惟と、2人のキス魔の思惟が、南国風にアレンジしたダンスをしていた。


ダンスでおびき出そうー作戦らしい。

アホなの?

さらにダンスのセンスの欠片も無く、それはかなり不可解なダンスだった。


もしかしたら、その不可解さゆえに、逆に妖精が出てくる?

シルスは、楽しそうな3人の思惟を見守った。


不可解な踊りだったが、自分自身が楽しんでいるようで、シルスの心は踊った。

自分と似ている者に感情移入しやすいのなら、この状態はものすごく感情移入のレベルが高いのかも知れない。


「いえーい」


裸族の思惟と一緒に、キス魔の2人もドタバタと踊り狂っていた。

3人の思惟は、踊りながらチラッと太ももをシルスに見せた。


「自分の太ももみて欲情なんてしないよ」

「そんな冷めた子は、こうしちゃえ!」


シルスは3人の思惟に囲まれ、おしくらまんじゅう状態で、お尻を押し付けられた。


「もう、やめてよ~私は良いから~」


と言いながらも、弾力のあるちょっと硬めのお尻・・・

自分のお尻って、こんな感じなんだ。


シルスは思った。


4人の思惟が、きゃっきゃっきゃっきゃっ、とおしくらまんじゅうをしていると


「あっ・・・入ってもうた・・・」


と裸族の思惟が呟いた。


見ると、裸族の思惟が着けていたコテカが、妖精の出入り口にちょうど、すっぽり入っていた。


壁の奥で、微かにモーター音が響いた。


「もしかして・・・オープン ザ ドアじゃない?」

「開いた、いえーーーい!」」

「コテカすごーーーい!」


興奮した裸族とキス魔1号2号は、勢いでエレベーターに飛び乗ってしまった。


「ちょっと待って!」

シルスは慌てて叫んだ。

そして、居間にいるであろう【チーム・北の島】に、助けを求めた。


「誰か来て!」


居間から応答はなかった。

エレベータのドアは閉まりかけていた。

あの思惟変態バージョンの3人だけで、行かせるわけには行かない。


「誰か来て!」


と叫んだあとシルスも、エレベータに飛び込んだ。

そして、自分の帯を解いて物置部屋に投げた。

きっと誰かが、何とかしてくれるかも知れない。


【チーム・南の島】を乗せると、エレベーターのドアは静かに閉まった。



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)

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