5話 僕の拳の前に、小細工など効かん!おりゃぁ!


20ワットの橙色の明かりのみの物置小屋は、薄暗かった。


妖精のお姫様たちが消えた辺りの捜索の最中、その薄い闇の中、橙色の明かりに照らされた凛琥(りく)の横顔は、高跳び台を睨み付ける選手の様に凛々しかった。


「凛々しい・・・私たちって結構いけるじゃん」


思惟βは思惟αに囁いた。


コンコン・・・


凛琥(りく)が壁をノックすると、他の場所とは違い、硬い何かがある感触がした。


「このあたり、何かあるよ」


凛琥(りく)は呟くと、拳を強く握った。


「僕の拳の前に、小細工など効かん!おりゃぁ!」


凛琥が、本気で壁を叩こうとしたので、思惟・女将は慌てて止めた。


「な・・・何してるの!ば・・馬鹿なの?

わたし達は陸上部の高跳び選手で、人を殴ったことも無いのよ」


「一理ある。さすが女将、物事を見極める目は確からしい」

「や~だ、女将だなんて、え~あたいは、まだ修行中の身だよ」


「あたいって!」


思惟αβは、同時に声を上げた。


「もしかしてこの2人、キャラ設定作ろうとしてる?

それとも素?素だったら逆に痛いよね。

そもそも女将が『あたい』っ言うキャラ設定ってどうなの?」


思惟βは思惟αの耳元で囁いた。


「痛いとか言わないの!この2人は私たちの中で優秀な2トップよ」

「こんなんが、あ~でもそうだね。所詮私だもんね」

「ふ~」


自分の限界値を知った思惟αβは、同時に溜息を着いた。


「そこの2人!溜息ついてないで、手伝えよ!」


本物の拳を持つ?凛琥(りく)から激が飛んだ。


「は~い」

思惟αβは仲良く返事をした。


「ねえねえ。この穴何だろう?」

思惟女将が、指差す所に3センチぐらいの穴が開いていた。


「何だろう?妖精の出入り口?」



つづく


いつも読んで頂き、ありがとうございます\(^▽^)/

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