7話 犯人の名はシルス


1人の思惟は椅子に座り、机の奥にしまってある日記を取り出した。


最初の1日だけ、気持ちを込めて書かれている日記。

3日どころか、2日も続かなかった。

中学1年の初登校日の日記だ。


「我ながら残念」


机の横のべットでは、同じチームの3人の思惟が深い眠りに入っていた。

真ん中の裸族の思惟の股には、塔の様にコテカが建っていた。

変態1名の両隣に添い寝する2人の少女。

「寝顔が可愛い・・・」

その言葉は自画自賛と言っても良い。


思惟は、デジカメでその姿を撮った。


そして思念した。

記す事がわたしの使命。

故に、わたしの名はシルス。


シルスは、3人の思惟が写った写真を眺めた。


自分と同じ姿をした他者?

もしくは自分の分身かも知れない存在。

それは不思議な存在だが、それを自分の中でどう位置づけすればいいのか、迷っていた。


それはそれとして・・・


「違うな・・・もうちょっとこう・・・衝撃的な体勢で・・・」


消灯された女将の間で、シルスは呟き、裸族と2人の思惟の腕や足を動かしてみた。


さっきまで話していたが、やはりこの異常な状況に疲れたのか、深い眠りに落ちていた。起きないように動かす事、1時間。


自分の分身かも知れない3人の少女の憐れも無い姿に、シルスは恥じらいと伴に、新たな自分を発見した。


「まさに芸術!」


その姿をデジカメで撮ると、満足した表情を浮かべた。

何か大きな仕事をやり遂げた感のあるシルスは、椅子に座り、日記のページを捲った。


2日目のページを開くと、昨日から今日までに起きた出来事を書き記した。


【式】【分身】【貴人化】


あの妖精の姫さまが言ってたけど、わたしたちの今の現象も、その類いのものか?


消灯され静まり返った女将の間で、地下で見た巨大なスフィンクウの様な生き物を思った。


「きゃーーーーあんたたち何て格好して寝てるの!」


女将の間に入ってきた、食料調達チームの叫ぶ声が聞こえた。

裸族思惟と2人の思惟の格好に、女将の間は一瞬でパニックになった。


主犯のシルスは、そのパニックの様子に、人知れずにやけると、一緒になってパニックって見た。



つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)

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