9話 ちょっとだけウキウキ

それは、使鬼だからなのかも知れないが、瞬きをして、再び目を開けた時には、消えていそうな静かで丁寧な口調で、会璃は言った。

「皆様に、お見せしたいものがあります」

その静かで上品な口調に、シルスの心は清められたが、すぐ隣で裸族のすっぽんぽんの思惟裸裸が、腰を軽く振り、腰のコテカが、軽く揺れ、それがシルスの腰につんつん当たってた。


シルスは、呆れた。が、同時に会璃の雰囲気に呑み込まれるのを防いだとも言える。

「変態」

シルスの言葉に、すっぽんぽんの思惟裸裸は「えへっ」と嬉しそうに笑った。

かまってちゃんが、かまってもらえた時の表情だ。


思惟オリジナルの頃、心の中に、常にかまってちゃん衝動があった。

もっとみんなにかまって欲しかった。

でも、その衝動は強く抑圧されていた。


思惟オリジナルの自信の無さと、性格によるものだった。

しかし、目の前のすっぽんぽんの思惟裸裸は、その強い抑圧が全くなかったのように、かまってちゃん衝動を解放していた。


シルスはちょっとだけウキウキした。

自由に生きる分身の存在によって、心の奥にあった欲望が満たされたのだろう。


エレベーターホールを抜けると、格納庫の様な部屋に案内された。

部屋の中には、マネキンのような物が並んでいた。


「これは?」

「使鬼です。姫さまが乗っていたのは特別な物ですが、こちらは量産型の使鬼です」


使鬼の胸部コックピットは開いていた。

多分、妖精が乗って操る為の物だろう。


そして、使鬼の顔は、地上の人間と見分けがつかない程似ていた。

実際に動いていたら区別はつかないかも知れない。


「ねえ、ねえ、この人見たことない?」

汎都(パント)の視線の先の、動きを止めた使鬼は、確かに、どこかで見た事があった。


「あっ・・・前の市長だ!」

裸裸は、叫んだ。

「ホントだ!」

「こっちのは、やくざの組長じゃない!昔、旅館に泊りに来てた」

「マジだ・・・」

「どういう事です?」

「そう言う事です。」


思惟たちの問いに、会璃は答えた。


そう言う事なのだろう・・・


つづく



いつも読んで頂き、ありがとうございます(⁎˃ᴗ˂⁎)



思惟たちヽ(*'0'*)ツ

思惟オリジナル(15)  旅館の女将修行中


【チーム・北の島】

α・・・ちょっとアホっぽい。弄られ少女。

β・・・ 賢者な少女。

璃琥(りく)・・・高跳び少女。美少女戦士。

思惟・女将・・・大人びた少女。


【チーム・南の島】

シルス・ ・・ デジカメ少女。日記を記す。

思惟裸裸(しいらら)・・・ コテカを装着した裸族の少女。

汎都(パント)・・・ シルスと裸族が大好きな少女。

舞夢(マイム)・ ・・キャラはパンちゃんと同じ。



【チーム・西の島】

ちーず・・・兄の狼図を嫁にしたい少女。

φ・・・ 初恋の少年を忘れられない。人形使い。

Ψ・・・ 惣菜買い出し担当。お金の管理を担当。

Ω・・・地下での記憶を持つ。全思惟の記憶を知る。

ν ・・・?

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