悠木 柚

POPにも書かれていますけど、この作品の主人公は直感と行きあたりばったりの捜査を連鎖的に行う警部さんです。 だらしない外見にサボり癖、口を開けば愚痴とスケベな会話。どうしようもない…続きを読む

女子校という魔境で巻き起こる聖女旋風。 もうこの時点で『察し』な感じなのですが、読み進めて納得。 文章はテンポよく、舞台配置や百合企画であることを踏まえると面白くならない方が難し…続きを読む

「こんな設定ずるい！」 と、思わず画面に向かって叫びたくなるほど情にくる構成。 主人公の背景とはそぐわぬ形のヒロインとの出会い。 その出会いによって今まで見えていなかった何かに気…続きを読む

気づいてはいるものの、本質には気づかない罪な女。 色の白いは七難隠すと言いますが、スウェーデン人の血が混ざっている彼女には「色も白いが難も少ない」と想像させるのに十分な魅力を感じ…続きを読む

以心伝心しているわけでもないのに、なぜかその形にピタリと収まるふたり。 まるで、アレルゲンに起因して抗体を作り出すマスト細胞。沼り過ぎていて、読んでいるこちらも嵌りそうになります…続きを読む

月明かりの下、二匹のノラネコが傷を舐めあっている―― そんな光景が浮かびました。 このまま依存になってもお互いが抱える問題は何一つ解決しないのに、それでも求めてしまいたくなる切…続きを読む

多感な時期は誰だって、色んなことをやってみたくなる。 不登校になるなんて、少しの理由があればいい。 恋をするのも勉強をするのも、別の違う何かに興味を示すのも。 ほんの少し、自分の…続きを読む

俳句のことは何ひとつ分からない私ですけれど、この作品群は文字列のビジュアル的に『なんかカッコいい』『なんかハイカラ』な感じがします。作品ひとつひとつに作者様らしい解説も添えられてい…続きを読む

現代ファンタジーの中に、SFとハードボイルドを詰め込んだ当たりクジみたいな作品でした。テンポよし、会話よし、構成よし。よいとこだらけで、悪いところといえば『主人公がかっこよすぎる』…続きを読む

妖の世界を舞台に、妖を主人公として書き綴られてゆく現代ファンタジー。妖の力を宿した人間ではなく、妖そのものが主だったキャラクターなのがオリジナリティ溢れていて素敵に思いました。作中…続きを読む

夫婦間の新しい形…… なんていえば聞こえは良いけれど、そこに至るのは本当に大変。主に精神面が途中で崩壊してしまう気がします。 しかし杓子定規で雁字搦めにされた世界から離脱したい。そ…続きを読む

何ごとにも前向きで真面目、そんな姿勢を勉強させていただきました。 とても魅力のある文章ですが、筆者が何をそのとき考えてたのか、どんなことを脳裏に過らせていたのか、そういうことも含め…続きを読む

まず88歳のウサギという設定がファンタズム溢れていて素敵だなと感じました。そして冒頭にわざと（…なのか、そうではないのか）置かれている『雄々しい』の形容詞。これは普通、文字のイメー…続きを読む

私って本当にバカだと思うときが、よくある。 それは大事な書類を家に忘れたとき。 それは休日を一日寝て過ごしたとき。 それは昔日の稚拙さを回想したとき。 後悔は無限だけど時間は有限…続きを読む

なんでも屋という隙間産業に生きる主人公を描いた作品。なのですけれど、縛りがないというか、括りがないというか、普通のなんでも屋の枠を大きく飛び越え、時には宇宙人から依頼が来たりもしま…続きを読む

とても情熱的に、楽しそうなことをしてる様が伝わってきました。自分で小説サイトをつくる……言うのは簡単だし、誰でも一度は思うようなことだけれど、本当にやろうとしてる人は稀。 サイト…続きを読む

主人公は小説を書くのが趣味。そして顕現したご先祖様は、小説にえらく詳しい。 そんな感じの導入だったので、最初はハウツー物かと思って読んでいたのですが、良い意味で見事に騙されました…続きを読む

主人公の抱える問題は非常に解決困難で、周囲の了承も得にくいもの。かなり本文は極端な描写がありますけれど、そこに、その感情に、嘘はないと思います。理解が高い国、低い国があります。日本…続きを読む

倒れたグラスから、弱い心の叫びが零れ落ちたような詩集でした。同時に零れたのは、嫉妬、憎悪、羨望、後悔。そして最後に零れたのが希望。そこまでぶちまけて、後の残りはグラスを元通りにする…続きを読む

双子の主人公。それぞれが持つ神具。時を越えた先。 これらのワードだけで、おおよその内容を把握できる人は少なくないと思います。それだけ双子や神具といったアイテムは、数多くの物語で登…続きを読む

近代文学に慣れ親しんでいる私たちにとって、世界最古の書物である聖書は古臭い感じがして敬遠しがち。（クリスチャンにとっては今でも文字通りバイブルですが、それ以外の人は目を通す機会の方…続きを読む

半ば騙される形で『凶悪な力』を押し付けられた主人公と、力を手に入れてから彼が関わる幾つかの組織。その人間関係を描いた物語。 先ずは殺し。そこから主人公の運命が狂い出した。一時の感情…続きを読む

真っ白なペンキで塗られた小さなテラス　そして椅子とテーブル 木漏れ日から踊る虹彩 それが物語を読む私の手元を行き来し　そうして感じたそよ風は　甘酸っぱい癒やしの鼓動を肌に覚えこ…続きを読む

怖いかどうかと問われると、二割怖くて八割面白い感じ。意味が分からない人は然程いないと思うけれど、たまに二重底になってる文章があるので、そこで躓くかも。こういうのは考える方も読む方も…続きを読む

全国の受験生垂涎の展開です。 こんなことになるのなら、ガリ勉しようかなと思うこと間違いなし!? 真面目にストイックにしっかり勉強頑張ってるだけなのに、鈍感系主人公ってなぜこんなに…続きを読む

匂いでも、ビジュアルでも、ましてや味でもないのに食欲を刺激される。つらつらと日常風景を書き連ねている現代ドラマなのですが、ドラマ性より毎回出てくる食べ物に目が留まってしまう。ポテト…続きを読む

胸に刺さる物語でした。 ひとりのキャラクターをこれだけ掘り下げた作品は、滅多にないと思います。あるときは妖精、またあるときは天使、そして本当の彼女は……。 軍務、政界の構成。現…続きを読む

超能力や特殊能力。今風に言い換えるとチート能力の出てくる創作って、結局は自分探しの物語だと思うのです。『こんな力があれば』『こんな風にできたら』なんて妄想と憧れを懐き、自分にはでき…続きを読む

賞味期限とか若作りとか。 とても共感しやすい話題ばかりで、面白いエッセイです。 特に深夜鈍行の語り口はテンポもキレも良く、どんどん先へと読ませるパワーにあふれ返っていました。またそ…続きを読む

とにかく綺麗で爽快。 ストーリー、テンポ、モノローグ、文章の美しさ、構成、全て100点満点中の200点ですね。 傷心旅行は恋の始まり。 浮気野郎にはガツンと天誅。 彼女は現代の…続きを読む

いつだってヒーローは喧嘩が強くて足の速い子。 いつだって男子はそんなのに憧れる。 小学生のケンとマッキーがワチャワチャしながら織りなす、夢か現実か、または想像の、素敵な物語。 …続きを読む

この中に魔王がいる！　転生した魔王をめぐり、かつての仲間がお互いを疑い合う異世界ファンタジー+推理活動+アクションノベル。 なかなかこういうスタイルの話には出会えないので、一気読…続きを読む

異性の嗜好は人それぞれ。 イケボだけでもいいじゃない。 でもイケボでイケメンなら、それが正義。 主人公が初志貫徹型のイケボ好き。イケボに溺れて暮らしたい願望が強すぎて、「この人、…続きを読む

読むと元気を貰える現代ドラマ。とにかく主人公の周囲が暖かく、まるで彼が光を集めているよう。陰鬱な描写も悲しい描写もあるけれど、それにより物語の光度が上がっているのが綺麗。 構成も…続きを読む

五月雨降りやまぬ五月上旬、深夜。主人公の中年男性は駅前の駐輪場で、あどけない少女を拾った。濡れたシャツに浮き出た下着。主人公はその未熟な魔性に魅入られるよう、少女と禁断の契約を交わ…続きを読む

残しておきたい言葉がある。 文字にしよう。 数年後に読み返す。 そのとき　自分は　どう思うかな。 そのとき　きみは　どこにいるかな。 そのとき　ゆめは　かなってるかな。 と…続きを読む

一度読みだすと止められない。どんどん世界にひきこまれていくファンタジーストーリー。最後まで、しっかりと丁寧に描かれたこの物語を誰かにススメずにはいられない。ここで内容の一端でも漏ら…続きを読む

カクヨム社主催の2021年度この温泉施設が面白い！　のタイトルを獲得した【温泉施設のキミョーな来訪客】です。 そんなタイトルはないけど、面白いのは事実。内容はとある従業員のボヤキ…続きを読む

のっけから最後まで、つらつら変わりなく書かれているのは全て情熱の燃やし方。それをうまく隠して『そんなの知らないよ』と進んでいくエッセイです。誰もが心の中でぼんやりと感じている『創作…続きを読む

毎週、企画主から出されるお題に沿ってストーリーを展開する企画。ハーフ＆ハーフ。その中にあって奇異にも連作短編を書くWEB小説家がいる。 それが愛宕平九郎氏。 物語は過去の恋人を忘…続きを読む

繊細過ぎる人間の心を鑑みれば、時にゾッとする感情に襲われる。 しかしそれは群衆志向の強い人間のそれよりはズッと良い。 『式』なんて言葉が出てくるファンタジーだが、その実、内容は幻想…続きを読む