キャスト全員がチャーミングなミステリー

POPにも書かれていますけど、この作品の主人公は直感と行きあたりばったりの捜査を連鎖的に行う警部さんです。
だらしない外見にサボり癖、口を開けば愚痴とスケベな会話。どうしようもない奴に感じますが、冴えない感じを醸しながら実は……! と言うハードボイルドの定石を撃ち破り、本当にどうしようもない奴なのでした。

ただ、そこに魅力がないのかと問われればそうでもなく、暴言の中に光る台詞回しや熟練者らしい勘に基づいた捜査と推理(当たっているかどうかは不明)は『彼らしいなぁ』と感じてしまい、難なく読み進めることが出来ます。

脇を固めるのは出世欲の強い上司、熟女好きの新人、恋愛下手な同僚、軽犯罪を繰り返す留置所常習者、その他諸々の日本的な常識で考えるとおかしな人達。そこに舞台がフィレンツェ(外国)であると言う事と他の事件との絡まりも相まり、ちょっと本気で豪華&お洒落なエンターテイメントを見せられている気分に浸れます。

捜査進行だけを追っていれば良い意味での泥臭い刑事物なのですが、登場人物達の味でコメディに思えてしまうところも素敵だなと感じました。

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