ダメおやじがイケメンに見えてくる　これぞ本格的推理小説！

　海外を舞台にした本格ミステリー小説。　　
　イタリアのフィレンツェで起った教授殺人事件が二転三転しながら意外な犯人へと導かれていきます。
　先の読めない展開、次から次へと起こる事件に、犯人を予想する楽しみなど、推理小説ならではの醍醐味を存分に満喫することができます。
　その上、魅力的なキャラクターの宝庫！

　主人公はジャンニと言う名のおじさん刑事。イケメンでも無いし、だらしなくてエッチな妄想全開、口が悪くて閃きも外しまくりの行き当たりばったりダメ刑事。
　それなのに、話を読み進めるうちにとってもカッコいいイケオジに見えてくるのです。
　本当に不思議なのですが、それほど作者様の人物描写が見事なのだと感動しました。

　また脇役陣も人間味あふれる面々。
　熟女命の新米捜査員ミケランジェロ。彼女と喧嘩中のレンツォ。権力に忠実、部下に丸投げ、でも詰めが甘くて憎めない上司ラプッチ。もう、思い出しただけでニヤけてしまうくらい魅力的なメンバーです。

　そんな連中が捜査を真面目に進めているのですが、事件解明は簡単ではありません。
　たくさんの事件と容疑者が入り乱れて、推理しがいのある極上のエンターテイメント作品です。

　皆様も是非、この感激を味わってみてください！

　この作品の登場人物達と同じ名前の人物が中世ヨーロッパで活躍する『覚書《リコルディ》～フィレンツェ宝飾職人の事件簿～』と言う作品もあります。
　合わせて読むと楽しさも倍増ですよ。
　どちらもお勧めです。