夷也さんの作品はホラーでもちょっと異質でして、怖さに面白さが乗っているんですね。
確かな民俗学の知識や人がちょっと知りたい、覗いてみたいというような恐怖。今作もまた夷也ファンを唸らせる一作だったと思います。
主人公がエクアドル旅行で手に入れたエケコ人形。エケコ人形って知っていますか?
おじさん形の幸運を招いてくれるラッキーアイテムなのだそうですが、それには世にも恐ろしい呪いがかかっていて……というところで物語は始まっていきます。
出てくるキャラクターはみんなどこか仄暗く、そこが大変魅力的。ホラーの怖さ作りってどこからすればいいのかなとふと考えることもありますが、並大抵の書き方ではたぶん作者様ほどの重厚感は出せないと思います。
怖いもの見たさで読んでしまう。ホラーで恐怖だけではなく面白さを感じてみたいという方はぜひ読まれることをおすすめします。
面白いです!
学校で自慢できる、そんな軽い気持ちで買ってもらった異国の人形。
その直後から、主人公の少年の周りでは凄惨な事件が立て続けに起き、彼から大切な者を次から次へと奪ってしまいます。
あまりの恐怖とリアルな描写に、読んでいてゾクッとしました。
一体なぜ、こんな事になってしまったのか。
その謎を知るために、少年は立ち向かう決意をします。
孤独を乗り越えた先で結ばれるのは……
家族、友人、困っている人を助けようと頑張っている人々との……絆。
それは、一方的に結べるものではありません。自ら手を伸ばして初めて繋がりが強くなる。
踏み出す勇気、周りの人への感謝。
心の奥に隠れている大切な気持ちに気づかせてくれる、温かな物語でした。
皆さんも是非、恐怖と安らぎの絶妙なハーモニーを味わってみてください。
お勧めです!
一言でこの小説を表現するとすれば、上記のひとこと紹介となると思うのですが、ストーリーは単純でなく、計り知れないほどの恐怖や不条理を感じながら、少年が成長する物語のように思います。
事の発端はエケコ人形。この耳慣れない人形は、南米のエクアドルの家族旅行の際に買ったものなのですが、帰国後ある日突然、家族に悲劇が訪れます。
何不自由なく都会で裕福な家庭に育った少年が、突如家族を失い、住み慣れた家、通い慣れた学校を離れ、右も左も分からない田舎で祖母と暮らすことになって……。
この急展開ぶりが、読者の想像を上回るほどの恐怖と悲しみを植え付けます。
なぜ、こんなことが起こるのか、と悩む少年を嘲笑うかのように、次々に襲う悲劇の中でも腐らずに、頼れる人物を頼りながら、解決の道を切り開く姿は、ホラー小説ながら、少年の成長を感じさせるヒューマンドラマにも感じました。
作者様が得意とする民俗学に、本作は海外のエッセンスも混ぜ込まれて、深みを感じさせる物語。
ご一読くださいませ☆
「死とは誰のモノなのか」
そんな不穏な問いかけから本作は始まります。「死」は過程に過ぎない、そんな言葉が続き、お、と背筋が伸びしました。人の死をただ残酷なものとして描くだけでなく、何やら深い世界観が広がっている予感…
第一章までを読ませていただき、ヒタヒタと迫ってくるホラー感にゾクゾクしました。
怪しい呪物、それもエクアドルというあまり馴染み深いと言い難い国の風習の品を旅行土産として主人公の少年は求めます。その時点で怪しさ満開なのですが…
帰国した少年にふりかかる悲劇!
それは人の仕業なのか?それとも怪しい呪物を求めたが故の帰結なのか…?
そんなミステリー要素も含みながら第二章へと続きます。
奥深いホラーを求めている方は、ぜひ!