真っ白なペンキで塗られた小さなテラス そして椅子とテーブル
木漏れ日から踊る虹彩
それが物語を読む私の手元を行き来し そうして感じたそよ風は 甘酸っぱい癒やしの鼓動を肌に覚えこませる
◇
決して若いとはいえず、少し恋愛に億劫な感じのヒロイン。以前なら体の芯から自然に湧き上がってきたロマンスに対する情熱も薄れ、気楽さを免罪符として仕事に打ち込む毎日。しかし、そこに現れたひとりの魅力的な男性。彼との交流は、雪解けの到来を予感させるのに充分なものだった……。
彼女・彼の一人称(モノローグ)と適切な会話で構成された物語は、とても情を揺さぶり、次の展開がどうなるのか非常に気になってしまいます。詳しくはないので恋愛作品におけるどのような技法が使われているのかは分かりませんが、毎回ドキドキしてしまう感情は確かに私の心を虜にしました。
タイトルのブルーベリービートもしっくりきていて、そこに偽りはありません。甘酸っぱいイメージとは別に、脳裏で駆け回ったのは花言葉。【実りある人生】そこにこの物語で何を伝えたいのかが集約されているのかとも思えます。
忘れかけていたロマンスの炎がよみがえる。
そんな体験をご所望なら、読むべき作品です。