神に愛された白狐は苦悩する

妖の世界を舞台に、妖を主人公として書き綴られてゆく現代ファンタジー。妖の力を宿した人間ではなく、妖そのものが主だったキャラクターなのがオリジナリティ溢れていて素敵に思いました。作中に、おどろおどろしい雰囲気はなく、むしろ美しい描写が多くあります。面白さゆえ、短時間で一章末まで読み進められました。

人化しているとはいえ、妖。人ならざる力を持ちながらも、人の世界に紛れて暮らしています。彼らには彼らの掟もあり、世の理すら彼らの存在を認めている様子。
送り狐とは、統率者とは、印付きとは……
そんな、ファンタジー好きの心を掴む数々の効果的造語が違和感なく胸に吸い込まれてゆきました。

バトルシーンも秀逸で、臨場感たっぷり。熱い展開に、女子・男子問わずハマること間違いなしです。流れ的にはそろそろ恋愛パートが見え隠れするころだと感じましたので、そこにも大きな期待を寄せていたり。

損はしませんので、ぜひ御一読していただきたい作品です。

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