幼い頃から筋金入りの鞭好きである筆者の、リアリティに満ち満ちた「フィクション」。鞭とのなれそめから発展してディープな世界を体験していく過程がとても具体的に描写してあり、読む者を誘うように引き込みます。
エピソードの数々も面白いのですが、何より感じるのは、東京という街の特異さ──それは大都会という表の顔に潜む、蠢くような多面的な裏側の顔ですが──この時代の空気が、あたかもそこにいるかのようにビシビシ感じられます。鞭愛のみならず、時代風俗を切り取った作品としても面白く、この時代の東京を生きた方には旧懐を誘い、ご存じでない方にはかなり興味深いのではないでしょうか。
そういう意味では貴重なアーカイブとも感じました。
読みやすく笑いが端々にあってとても楽しめました。
さて、みなさまは打たれたことがありますでしょうか?
打たれたことが無い方は打つ側でしょうか?
どちらでもないという方は両者を眺める鞭愛好家ですね。
そう、この物語の主人公は鞭を打つことも打たれることもない女子高生のお話なんです。
これは彼女が幼いころから片鱗を見せ、いかに鞭に魅せられていくかを綴った物語……
フィクションなんですけれどもね、メチャクチャリアルなフィクションなんです。
すげえ世界だなとニヤニヤしつつも最後はしっとり締める。
最後には、無知なわたしですら……(ギャグではないですよ!)「あっ、鞭って見るのちょっと面白いかも!」と思ってしまいました。
そこはやっぱり作者さまの鞭に対するこだわりを見たからだと思います。
いやあ、東京って恐ろしいところですね、魔窟ですよ(;´Д`)
あなたも鞭の世界のぞいてみる?
子供からお年寄りまでが偏見にとらわれることなく、楽しく鞭を振ることができる環境作りをモットーに、現在では会員数も着々と伸ばしている団体が存在しているのをご存じだろうか? その名は日本スポーツウィップ協会という。スポーツという名を冠している通り、スポーツとしての鞭の発展と普及にも力を入れている。
タイトルの「鞭とJK」には、鞭に対するメジャーなイメージを払拭させようという意図が絡んでいる。JKというところが大きなポイントだ。ティーンエイジャーが持つ独特の好奇心を上手く使い、鞭に対する興味を色々な角度で表現している。作中ではところどころで鞭の持つ本来のイメージ「らしさ」を匂わせているが、JKの将来には明るく爽やかな新しいビジョンを光らせている。正に、日本スポーツウィップ協会の理念に近しいものが、この作品にはあった。
ギュッと締まった皮の編み具合、空を切るように回した時のヒュンとした軽快な音。本気で対象物を狙って打った時の破壊力(白菜だって真っ二つ!)。鞭の魅力は、M男に向かって傷痕を残すだけのものではない。己の思いのままに操れる自在性を探求するものなのだ☆