これは読もう。理屈抜きに面白いので!!
- ★★★ Excellent!!!
鞭を振るうことが好きな主人公。そういう思考を持つに至ったきっかけと、過去の経験談が何とも刺激的で興味深い、とんでもなくディープな作品です。
ボンデージファッションに身を包み、鳥籠の中で舞う美しい女性たち。女装で鞭を振るう美貌の男性、鎖で繋がれ鞭打たれる悦びを味わう中年男性。これを単なる倒錯と見るか、芸術と見るか。
日本は、こういう文化を芸術的表現の一つとして楽しむことの難しい国なのではないかという気がします。常識的で風紀を乱さない無難なもので埋め尽くしてあれば安心、という姿勢を崩すことができないというか。芸術を開放的に楽しんだりすることが苦手な国かもしれないと思います。
東京は、混沌とした場所。何かが狂わされ、その狂った何かを押し殺すことができなくなる歪んだ空気に満ちていて。なぜ物事は健全な方向へ向かわず、陰鬱に病んでしまうのか——それは、日本社会全体の過剰に抑圧された空気が、この街でひしめく人々の心をそうさせるからではないか。
本作を読み終え、ふとそんなことを思いました。
とにかく、読後に放心状態になる面白さです。ぜひご一読を!