カササギの遺伝子

タイトル及び本人不在(鵲の母)で進行するスタイルは角川文庫からも出版されている【キサラギ】を思い出させます。あちらはちょっとマニアックな感じですが、こちらの物語は優しくて甘酸っぱい感情と少しの黒歴史が詰まった作品。ミステリーのようでもあり、恋物語でもある欲張った構成でした。

読後の第一感想は『やはり世の中は遺伝子が全てなのか!』というもの。たまにトンビが鷹を生むなんてことはありますけれど、大体は蛙の子は蛙。その蛙が美しければ子蛙にもそれは受け継がれる。私の父と母は恋愛するとき、なぜ自分の容姿を棚に上げてしまったんだ、生まれる子供のことを考えなかったのか、子供よりひと時の快楽に身を溺れさせたのか……話が逸れてすみません。

ダラセンのモノローグを読み、青春とは誰彼にも等しく訪れる一過性の麻疹みたいなものだなと、改めて感じました。とても面白かったです。