まず、タイトルのセンスの良さに唸りました。
なぜヒトとインコを対比させたのかは、ページを開けば直ぐにわかります。
それでは、インコになれない私たちが目指すべき先はいったいどこなのか?
これはある夫婦が直面する危機のお話です。
間違いメールから始まる浮気の疑惑は、やがて思わぬ複雑な様相を呈していきます。
愛って何? 夫婦って何?
自分が今まで抱えていた『こうあるべき』と言う考え方は真理なのだろうか?
一筋縄ではいかない現実。
だからこそ、こんな形もあるんだろうなと、憧れにも似た気持ちでこの夫婦が出した結論を応援したくなりました。
皆さんもこの作品を読んで、新しい『こうありたい』を思いつくかもしれませんよ。
是非ご一読ください。
夫から送られてきたのは、明らかに自分宛ではないメッセージ。
すぐに送信が取り消され、疑惑がより沸いてくるのは仕方のないことでしょう。飲みに行くのは会社の付き合いと割り切ろうとしても、脳裏に浮気という文字がかすめてしまう。
夫にどう問い詰めればいいのか、しばらく様子を見た方がいいのか。知りたくなかったことに気付いてしまった、主婦の苦悩がリアルに迫ってきます。未婚の私がドキリとしてしまったのですから、既婚者の読者の皆さまはかなり感情移入されるのではないかと思います。
図らずも夫婦の形を考えさせられる佳奈。彼女達の選択を、手に汗握りながら見届けてください。
6年連れ添っている30代の夫婦。子どもはおらず、冷め始めた関係のふたり。そこに突如吹き込んだつむじ風は、夫の不倫疑惑だった。
さて、ここから読者はどんな展開を予想されるでしょうか。
ドロ沼、修羅場、夫婦の危機、色々なパターンがあるでしょうが、この物語の場合、一筋縄ではいきません。
エピソードがひとつずつ進むごとに、読者は「マジか?!」の連続で、まんまと翻弄されます。でも同時に、主人公や登場人物たちの思考がリアルで地についていて、彼らの出す答えもごく自然な流れに見えてしまう。これは筆者のマジックです。
人は決してつがいの鳥ではない。ならば……?
予想を裏切られる楽しみが待っています。10篇の中にざわめく人間模様、ぜひ堪能してください。
こちらの作品、一言でいうと『夫婦の形に潜む女性の本音』だと思います。
旦那の浮気から始まる展開は定番とはいえ、そこからラストに向かう流れは一筋縄ではありません。
キャラクターや夫婦の設定も絶妙で、単なる浮気かと思ったら実は……、という流れに一気に引き込まれます。
最初に断りを入れますと、男女世代別でかなり賛否両論あるかと思います。一見したら綺麗にまとまって終わっているのですが、ラストに語られる本音をよく読むと、そこには生々しいリアルな女性の本音が見えてきます。
なので、夫婦の形に対する賛否うんぬんよりも、なぜこの形にしたのかという点に着目して読めば、そこに本当のメッセージがあるのかなと思いました。
ドロドロとした愛憎劇とは一味違う女性の怖さ。ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
※作者さまの狙った感想にはなっていないかもしれませんが、既婚の男性という立場からすれば、「やられた!」という怖さが一番強く感じましたので、今回はその点に絞っての紹介とさせていただきました。
間違って送られてきたメールから、夫の不倫を知った主人公の妻は、腸の煮えくり返る思いでいた。そんな中、オーケストラの仲間である青年から、主人公は言い寄られ、想いは揺れる。
しかし、夫の不倫相手は女性ではなかったことが判明し、主人公はその不倫相手に会いに行く。そこにいたのは、女性と見紛うばかりの美青年だった。不倫相手は自分の性別や恋愛対象に悩みを抱えながら、必死に生きていた。
主人公は夫と不倫相手を家に呼び出し、ある計画を打ち明ける。
それは今までの夫婦の概念を壊すような計画だったが、それぞれの生き方を肯定するようなものでもあった。
人間は愛することに貪欲でいい。
神様に誓うのは、変わらない愛ではない。
軽妙な文章ながら、扱っているのはどろどろとしがちな不倫だが、作者様の発想の転換によって、最後は爽やかに感じました。
是非、御一読下さい。
『健やかなるときも病めるときも喜びのときも悲しみのときも富めるときも貧しいときも、これを愛し敬い慰め遣え共に助け合いその命ある限り真心を尽くす』
挙式で「汝」から始まる神父の言葉である。
離婚率も上がり、上記の言葉も廃れてきているような昨今となっている傾向だが、よくよく向き合ってみると、その解釈は自分で勝手に狭めているだけではないだろうか、という考えに至った。夫婦という期間は長い。当然、紆余曲折があり、互いがすれ違うこともあれば、興味を失ってしまうこともある。そうなった時に、ちょっと視点を変えて一工夫すれば、結果的に『共に助け合い命ある限り真心を尽くす』ことにもなると、この作品を読んで気付いた。
冷え切った夫婦が元通りになることはない。しかし、やり方次第で今まで以上の絆が生まれることもある。夫婦という言葉がダメなのか、浮気という言葉がダメなのか。いや、ダメと決めつけるルートを持つのがダメなのだ。
あらゆる垣根を取っ払い前向きに進んでいく主人公を、自由自在に描いてゆく作者さまの心意気と繊細な心遣いが、この作品にはいっぱい詰まっています☆